共学化や統廃合で減少する女子大学:少子化と「総合大学志向」が背景に
社会 教育
女子大学の数が減少を続けている。この4月にも2つが共学化に踏み切り、全国で73校となる。
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武庫川女子大学(兵庫県西宮市)教育研究所が公表している「女子大学統計・大学基礎統計 2022年度版」によると、1998年には全国に98あった4年制女子大学は2000年前後から共学化、統廃合の動きが加速し、2021年には75に減少した。内訳は、国立2、公立2、私立71。
大学の総数はこの20年余りで600から800に増加している。一方、女子大の数は1年1校のペースで減っている。ことし4月には、神戸親和女子大学(神戸市、学生数1500人)と鹿児島純心女子大学(鹿児島市、600人)が共学の「神戸親和大学」「鹿児島純心大学」にそれぞれ生まれ変わる。
最近の女子大学の動き
2023年4月 | 神戸親和女子大が共学化し、神戸親和大に |
2023年4月 | 鹿児島純心女子大が共学化し、鹿児島純心大に |
2021年 | 東北女子大(青森県弘前市)が共学化し柴田学園大に |
2020年 | 名古屋柳城女子大が新設 |
2019年 | 清泉女学院大(長野市)が看護学部を共学化 |
2019年 | 広島文教女子大が共学化し広島文教大に |
2015年 | 東京純心女子大が共学化し東京純心大に |
出所:武庫川女子大「女子大学統計・大学基礎統計」
また、大学院を持つ女子大学のうち、すでに半数以上の36校では大学院での男子受け入れを認めている。
女子大減少の背景としては、少子化による学生数の減少が第一に挙げられる。加えて、女子学生の共学志向や、比較的規模の大きい総合大学への志望者が増えている事情もあるという。
女子大学はこれまで、特に私立では文学部、家政学部が主で、その多くが1学部、2学部で構成されていた。このため、1990年代以降、経済・ビジネス系の実務型学部や理工系学部を目指す女子のニーズを受け止められず、志望者が減った。
下図は、私立女子大における学部数の変化を示したグラフだ。この20年間で「1学部のみ」の割合が大きく減り、生き残りのために新たな学部を設置する大学が増えていることが分かる。女性の社会進出に対応したビジネス・情報系、建築・デザイン系、資格取得に直結する看護・社会福祉系など、キャリア直結型の学部新設が目立っている。
バナー写真:PIXTA