ぜいたくなお重よりも、お雑煮が好き!: 「角もち」か「丸もち」か天下分け目の関ケ原
食 文化 暮らし
年末が近づくとデパートや有名料理店のン万円もするおせちの広告を目にする機会が増える。お正月にぜいたくをするのも悪くないけれど、でも、なぜか、ありきたりの具材で作ったお雑煮の方がお正月を実感できる。
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紀文(本社東京)は毎年、全国47都道府県20代~60代の既婚女性7015人を対象に「お正月」「おせち料理」をテーマに調査を実施している。2022年度の調査で好きなおせち料理(正月料理)について聞いたところ、トップは「雑煮」47.0%。「栗きんとん」40.2%、「黒豆」36.8%が続いた。豪華な食材が詰まった重箱もいいけれど、野菜や鶏肉など素朴な食材を使った熱々のお雑煮こそ日本人のソウルフードなのかも。
ちなみに「おせち料理」はもともと、季節の変わり目の「節句」に神様にお供えした料理のこと。しかし、いまや「おせち」と言えば、正月料理を指すようになっている。
お雑煮は、大晦日に年神様にお供えした餅を、元日の朝に降ろして野菜や鶏肉、魚介などと煮込んだもの。地方色が豊かで、家庭ごとのバリエーションも豊富。
お雑煮に入れるおもちの種類を聞いたところ、東は角もち、西は丸もちとくっきり傾向が分かれた。天下分け目の岐阜県関ケ原付近が、おもちの形の分け目ともいわれており、境界線付近の県では丸と角が共存している。もともとは丸もちが標準だったが、東日本で角もちが広まったのは、江戸の人口増加で生産効率が高く、運搬に便利なのし餅の需要が高まったためとの説がある。
西日本でも、高知県と鹿児島県は角もち優勢。江戸時代に藩主の山之内氏、島津氏が長く江戸にとどまったことから、江戸風の文化が持ち込まれたらしい。
【お雑煮コレクション】
くるみ雑煮 / 岩手県
仙台雑煮 / 宮城県
白味噌雑煮 / 京都
小豆雑煮 / 島根県東部地域
かぶ雑煮
あんもち雑煮 / 香川県
博多雑煮 / 福岡県
具雑煮 / 長崎県島原地方
バナー画像 : PIXTA