明治以来120年続く嫡出推定を見直し : 女性のみに課された「100日再婚禁止規定」廃止
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民法には、1898(明治31)年から120年以上続く【嫡出推定】の規定がある。
- 女性が婚姻中に妊娠した子どもは夫の子と推定
- 婚姻成立から200日経過後に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定
- 婚姻解消の日から300日以内に出生した子は、婚姻中に妊娠したものと推定
実は、この連立方程式は単純には成立しない。
例えば、離婚から15日後に再婚し、再婚から280日後(=離婚から295日後)に子どもが生まれた場合、「婚姻成立から200日経過=再婚夫の子」と「婚姻解消から300日以内=前夫の子」の両方に該当するため、誰の子なのか確定できない問題が生じてしまう。
そこで、離婚した女性には、100日間、再婚を禁止する規定が存在する。こうすることで、300日を境に前夫の子か再婚夫の子が明確になっている。
現行の嫡出推定は、「妊娠は婚姻関係のもとでのみ生じる」ことを前提としている。
しかし、現実的には、<離婚協議中に、新しいパートナーの子を妊娠>したり、<不倫&妊娠が発覚して、期せずして離婚話に発展>したりなどのケースもあるだろう。
「生物学的には新しいパートナーとの子」と確信を持っているのに、嫡出推定の原則に基づいて「法律的には前夫の子」として扱われることを避けるため、母親が出生届を出さないケースが少なくないという。その結果、子どもが「無戸籍」となり、住民票がない、公的医療保険に入れない、学校に通えないなど、日常生活にさまざまな不便・支障を来すことになる。
政府は、無戸籍児問題に対応するため、離婚後300日以内に生まれた子どもは「前夫の子」とする規定に、「再婚後に生まれた子どもは再婚夫の子」とする例外を加わえる民法改正案を2022年10月14日、閣議決定。今国会での成立を目指す。
「離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫との子」との原則は維持するが、「離婚後300日以内」であっても、母親が再婚した後に出産した子どもは、再婚夫の子となる。嫡出推定の重複期間がなくなるので、女性だけに課されていた100日間の再婚禁止も廃止する。
バナー写真 : PIXTA