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上場企業の女性役員:初の3000人台、比率は9%に上昇も社外取締役が中心

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2021年度の上場企業の女性役員は増加し、初めて3000人台に乗せた。全役員に占める女性の割合も9%と、前年度(7.4%)に比べてわずかに上昇した。「性別に関係なく能力で判断を」という社会的要請や投資家のニーズが背景にある。ただ、女性役員といっても内部昇格ではなく、社外取締役の登用が目立つのが実情だ。

民間調査会社の東京商工リサーチの調査によると、上場企業3795社のうち、女性役員数は3575人と、前年度比21.8%増加し、初めて3000人の大台に乗せた。最も女性役員比率が高かったのは、無線通信メーカーのユニデンホールディングスの60%。同比率が50%を超えたのは計7社だった。

2021年度の女性役員比率ランキング

社名 業種
ユニデンホールディングス 電気機器 60(10)
光ハイツ・ヴェラス サービス 50(57.14)
ローソン 小売 50(50)
三洋堂ホールディングス 小売 50(40)
AI CROSS 情報・通信 50(50)
ニューテック 電気機器 50(25)
セルシード 精密機器 50(50)
資生堂 化学 46.15(46.15)
エムスリー サービス 44.44(33.33)
シーボン 化学 44.44(55.55)

()内は2020年度
出典:東京商工リサーチ

一方、「女性役員ゼロ」という会社も全体の4割近くあり、業種別では不動産業、卸売業、運輸・情報通信業などとなっている。

女性役員の登用が進んでいる背景の一つには、「市場の圧力」がある。東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードは、企業に「人材の多様性確保」を求めており、機関投資家も女性役員の有無を投資判断の目安の一つにしている。国内外の機関投資家の間では、女性役員が1人もいない企業に対し、取締役選任案で反対票を検討する動きも広がっているという。

企業の上場市場別で見ると、グローバル展開する大企業が多い「東証プライム市場」での女性役員比率が11.4%と最も高く、投資家の目が最も厳しい市場に上場する企業で女性役員の登用が目立っている。

ただし、女性役員は社内部からの昇格という形ではなく、女性の弁護士や会計士、大学教授らを外部から登用する「社外取締役」が大半。例えば、2021年度に初めて女性役員を登用した311社では、社外取締役が91.9%を占めた。

商工リサーチの担当者は、数合わせのため「社外取締役で水増しするのではなく、本来なら女性社員が役員に登用されるのが望ましい。実態にも目を向けることが必要」と指摘している。

バナー写真:PIXTA

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