日本の科学技術研究開発費、研究者数は世界3位 博士号取得者数は減少傾向―文科省が「科学技術指標2022」を公表
科学
文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)がこのほど公表した「科学技術指標2022」によると、日本の研究開発費、研究者数はともに主要国中3位。ただし。他の主要国と比べて伸びは小さく、博士号取得者数は2006年度をピークに減少傾向にある。
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「科学技術指標」は科学技術活動を①研究開発費、②研究開発人材、③高等教育と科学技術人材、④研究開発のアウトプット、⑤科学技術とイノベーション―の5分野に分類し、約170の指標を用いて日本と主要国の状況を分析している。概要は、下表の通り。
主要な指標における日本の動向
指標 | 日本の順位(前年) | |
---|---|---|
研究開発費 | 3位(同) | 17.6兆円 |
企業 | 3位(同) | 13.9兆円 |
大学 | 4位(同) | 2.1兆円 |
公的機関 | 4位(同) | 1.5兆円 |
研究者 | 3位(同) | 69.0万人 |
企業 | 3位(同) | 51.5万人 |
大学 | 3位(同) | 13.6万人 |
公的機関 | 3位(同) | 3.0万人 |
論文数 | 5位(4位) | 6.8万件 |
Top10%補正論文数 | 12位(10位) | 4000件 |
Top1%補正論文数 | 10位(9位) | 300件 |
特許(パテントファミリー)数 | 1位(1位) | 6.4万件 |
出所:科学技術指標2022
(注)論文数、Top10%と1%補正論文数は「分数カウント」
パテントファミリー(2カ国以上への特許出願)数は世界1位を保っているが、そのシェアは26.0%(2015-17年の平均)と、2000年代半ば(29.9%)と比べて低下している。
日本の論文数は横ばいで、他国・地域の増加により世界4位から5位に順位を下げた。トップは中国で、米国、ドイツ、インドが日本を上回っている。日本の順位の低下は注目度の高い論文において顕著で、「Top10%補正論文数」(論文の被引用数で各研究分野の上位10%に入る論文を抽出し、補正を加えた数)は今回12位、「Top1%補正論文数」は10位となった。Top1%補正論文数では、中国が初めて米国を上回り、世界1位となった。
日本の博士号取得者数は2006年度の1万7860人をピークに減少傾向にあり、19年度は1万5128人。一方、中国、韓国ではこの間に博士号取得者が約2倍に伸び、2020年度は中国が6万5585人、韓国が1万6139人となっている。
労働力人口1万人当たりの研究者数は、主要国では韓国が160.4人とトップ。日本は98.8人で4位だった。日本は2000年代前半には世界1位だったが、他国はこの20年間で人口当たり研究者数を大きく伸ばし、韓国とフランス、ドイツが日本を抜いた。
バナー写真:PIXTA