安倍晋三氏、半世紀ぶり戦後2人目の国葬 : 大平氏以降は内閣・自民党合同葬が慣例に
政治・外交 社会
政府は、奈良市内で遊説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の「国葬儀」を9月27日に日本武道館で執り行う。戦後の首相経験者の国葬は吉田茂氏に続き2例目。
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政府は、奈良市内で参院選の応援演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の「国葬儀」を9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で執り行うことを閣議決定した。戦後の首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏に続き2例目。
戦前は1926年公布の「国葬令」に基づき、皇族や首相経験者、軍人などが対象となった。国葬令は戦後廃止されたが、67年に吉田茂氏が死去した際に、当時の佐藤栄作内閣が閣議決定に基づいて「国葬」を実施した。佐藤栄作氏の死に際しては、国と自民党、国民有志が費用を負担して「国民葬」が営まれた。
1980年に亡くなった大平正芳氏以降は、首相経験者は「内閣・自民党合同葬」が慣例化している。直近では、中曽根康弘氏の合同葬に9643万円の公費が投じられたことに対して野党からは批判の声も上がった。
2000年6月に死去した竹下登氏は、生前から出身地の島根県掛合町での簡素な形で葬儀を希望しており、町と自民党島根県連の合同葬形式で実施。ロッキード事件で有罪判決を受けた田中角栄氏は内閣は関与せず、自民党と田中家の合同葬儀の形式をとった。
安倍氏の葬儀を55年ぶりの国葬とすることは、岸田文雄首相が14日の記者会見で表明。首相在任期間が憲政史上最長の8年8カ月にわたること、東日本大震災からの復興、日米関係の強化など内政・外交での成果、国際社会からの高い評価などを理由として挙げた。
戦後の主な首相経験者の葬儀
受賞者 | 葬儀時期 | 形式 / 場所 |
---|---|---|
吉田茂 | 1967年10月 | 国葬 / 日本武道館 |
佐藤栄作 | 1975年6月 | 国民葬 / 日本武道館 |
大平正芳 | 1980年7月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
岸信介 | 1987年9月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
三木武夫 | 1988年12月 | 衆院・内閣合同葬 / 日本武道館 |
田中角栄 | 1993年12月 | 田中家・自民党合同葬 / 青山葬儀所 |
福田赳夫 | 1995年9月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
小渕恵三 | 2000年6月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
竹下登 | 2000年7月 | 竹下家・掛合町・自民党島根県連合同葬 / 島根県掛合町 |
鈴木善幸 | 2004年8月 | 内閣・自民党合同葬 / 新高輪プリンスホテル |
橋本龍太郎 | 2006年8月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
宮沢喜一 | 2007年8月 | 内閣・自民党合同葬 / 日本武道館 |
中曽根康弘 | 2020年10月 | 内閣・自民党合同葬儀/ グランドプリンス新高輪 |
安倍晋三 | 2022年9月 | 国葬 / 日本武道館 |
バナー写真 : 吉田茂元首相の国葬=1967年10月31日、東京千代田区日本武道館(時事)