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日本の原子力発電所マップ 2022年版

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福島第1原発の事故から11年余、2022年6月までに日本国内で再稼働した原発は6発電所10基だが、現時点で稼働しているのは4基のみ。地元自治体が再稼働に同意しているものの、安全対策工事などに時間を要し、再稼働していない原発もある。一方で、二酸化炭素を排出する火力発電は脱炭素の流れに逆行することから、近年では設備が老朽化した火力発電所の廃止が相次ぎ、電力の供給力が低下しており、夏場や厳冬期の電力供給は綱渡りとなりそうだ。

東日本大震災の発生前、日本には54基の原発があり、日本で使う電力の30%前後を原子力で賄っていた。しかし、東京電力の福島第1原子力発電所の事故により、原発に対する不信感や不安感が強まり、原発の位置づけは大きく変わった。

事故から11年以上が経過した2022年6月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、美浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、伊方(四国電力)の6発電所の10基のみ。西日本エリアに集中しており、いずれも事故を起こした福島第1原発とはタイプが異なる「加圧水型」だ。

福島第1と同じ「沸騰水型」では、女川(東北電力)、柏崎刈羽(東京電力)、東海第2(日本原子力発電)、島根(中国電力)が新規制基準に合格しているが、いずれも再稼働に至っていない。

また、東日本大震災以降に廃炉が決定した原発は21基に上る。

東日本大震災以降の原発をめぐる主な動き

11年3月 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故
12年5月 泊原発(北海道電力)3号機が運転停止、42年ぶりに国内の原発稼働ゼロ
12年6月 原発の運転期間が原則40年までに延長
12年7月 大飯原発(関西電力)3、4号機が再稼働(原発ゼロ2カ月ぶり解消)
12年9月 原子力規制委員会発足 
13年7月 自然災害やテロ攻撃に備える原発の新規制基準施行
13年9月 大飯原発3、4号機が定期検査入り、再び原発ゼロ
14年4月 第4次エネルギー基本計画閣議決定「原発は重要なベースロード電源」と位置付ける一方で、「再生可能エネルギーの導入などで原発依存度は可能な限り低減」
15年8、10月 川内原発(九州電力)1、2号機再稼働(新基準施行後最初の再稼働、原発ゼロ1年11カ月ぶり解消)
16年1、2月 高浜原発(関西電力)3、4号機再稼働
16年8月 伊方原発(四国電力)3号機再稼働
18年3月、5月 大飯原発3、4号機再稼働
18年3月、6月 玄海原発(九州電力)3、4号機再稼働
18年7月 第5次エネルギー基本計画閣議決定 「2030年度に原発による発電比率を20~22%にする」
20年11月 宮城県の村井嘉浩知事が女川原発(東北電力)再稼働に同意。事故を起こした福島第1と同じ沸騰水型としては初。 東北電は2020年度以降の稼働目指す
20年12月 大阪地裁が大飯原発3・4号機の設置許可取り消し命じる(国は控訴)
21年1月 柏崎刈羽原発(東京電力)で20年9月に中央制御室に入室するIDカードが不正使用されていたことが発覚
21年3月 柏崎刈羽原発で20年3月以降、外部からの侵入を検知する設備が故障し、十分な代替措置が取られていなかったと原子力規制委員会が発表
21年4月 政府は、福島第1原発でたまり続けるトリチウムを含む処理水を、希釈した上で、海洋放出する方針を決定
21年4月 柏崎刈羽原発のテロ対策に不備があった問題で、原子力規制委員会が、状況の改善が追加検査で確認されるまで同原発内での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を正式決定。再稼働の準備は凍結
21年4月 福井県の杉本達治知事が運転開始から40年を超える美浜原発(関西電力)3号機と高浜原発(関西電力)1・2号機の再稼働に同意を表明。福島第1原発の事故後、原則40年とされた運転期間を超える原発の再稼働に地元が同意したのは初めて
21年6月 美浜原発(関西電力)が、2011年5月に定期検査で停止して以来、約10年ぶりに再稼働 (テロ対策施設が設置期限までに完成しないため、同年10月に運転停止)
22年5月 原子力規制委員会が、福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出について必要な設備などを盛り込んだ東電の計画を妥当とした審査書案を了承した。東電は、トリチウム濃度を国の基準値の40分の1未満になるよう海水で希釈し、新たに設置する海底トンネルを通じて約1キロ沖合に放出するとしている
22年6月 島根県の丸山達也知事が、島根原発(中国電力)の再稼働を容認

バナー写真 : 中国電力 島根原子力発電所(PIXTA)

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