HPV(子宮頸がん予防)ワクチン:9年ぶりに接種勧奨再開―12~16歳の女性に呼び掛け
社会 健康・医療
子宮頸がんなどの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防する「HPVワクチン」の積極的な接種勧奨が、4月から約9年ぶりに日本で再開された。
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「HPVワクチン」は2013年4月に日本での定期接種が始まったものの、接種後に身体の広範囲で痛みが続いたり、運動障害が起きたりといった「多様な症状」が報告され、メディアもこの話題を多く報道。厚生労働省は同年6月、積極的な接種勧奨を差し控える決定をした。
厚生労働省によると、同ワクチンは世界保健機関(WHO)が接種を推奨しており、2020年11月の時点で110カ国で公的な予防接種が行われている。カナダや英国、オーストラリアなどの接種率が約8割に達する中、日本では自治体が勧奨を控えることで、接種率が1%以下となっていた。
その後、国内外で接種後の症状に関してさまざまな研究が行われた。その結果などについて厚生労働省の検討部会が審議を行い、2021年11月に「積極的勧奨の再開」を決めていた。
全国の各自治体は4月から、定期接種の対象者となる小学校6年から高校1年相当(12~16歳になる年度)の女子に情報提供などを始める。厚労省もワクチン接種について説明するリーフレットを公表している。
また、積極的な勧奨が差し控えられていた間に接種機会を逃した人への「キャッチアップ接種」の公費での提供なども、今後各自治体で進められる。
同省によると、子宮頸がんは毎年日本で約1万1000人の女性がかかる病気で、毎年約2900人の女性が死亡、30歳代までに子宮を失って妊娠できなくなる人も約1000人いる。患者は20歳代から増え始め、40歳代後半で罹患率が最も高い。
バナー写真:厚生労働省が作成したヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するリーフレット(時事)