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東日本大震災から11年:被災地と復興の現状

社会 防災

2011年の東日本大震災発生から3月11日で11 年。被災時の状況をあらためて振り返るとともに、復興の現状と福島の状況をまとめた。

巨大地震と大津波

2011年3月11日金曜日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。宮城県北部の栗原市で最大震度7を観測したほか、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の8県で震度6弱以上を観測した。その直後に福島県相馬市で9.3メートル以上、宮城県石巻市で8.6メートル以上、岩手県宮古市では8.5メートルの高さとなる大規模な津波が広範囲にわたって沿岸部に押し寄せた。発災直後の避難者は約47万人。仮設住宅などの入居は最大で約12万4000戸に及んだ。

政府が把握した人的被害は、震災発生から3カ月余りの6月20日時点で、死者約1万5000人、行方不明者約7500人、負傷者約5440人に達した。

今も3万8000人が避難

復興庁によると、災害関連死を含めてこれまでの死者は1万9747人、行方不明者は2556人、全壊した住家被害は12万2005棟。22年2月現在、今も3万8139人が避難生活をしている。避難生活の場は全国に及ぶが、うち関東に1万8000人、東北各県に約1万3000人が住んでいる。県外への避難者数は、福島県からが約2万7000人、宮城県からが約3400人、岩手県からが約770人。

三陸沿岸道路が全面開通

高台移転による宅地造成(計画約1万8000戸)、災害公営住宅の整備(計画約3万戸)など、住宅の再建・復興まちづくりの事業はほぼ完了。復興庁によると、移転元地(公有地)の約3割で活用方法がまだ決まっておらず、今後の課題となっている。

2021年12月18日、仙台市と八戸市を結ぶ総延長359キロメートルの三陸沿岸道路が全線開通。復興道路・復興支援道路のインフラ整備がほぼ完了した。鉄道は、20年3月にJR常磐線が全面開通している。

水産業はまだ回復途上

復興庁によると、被災3県(岩手、宮城、福島)の生産設備はほぼ復旧。製造品出荷額などは2019年の段階で、震災前の水準まで回復したとしている。漁業の水揚げは低調で、震災前に年30万トンあった宮城県の漁獲量は、19年はその3分の2の21万7000トン余りにとどまっている。

原発事故の影響により長く操業自粛を余儀なくされていた福島県の沿岸漁業・底引き網漁業は、21年3月末をもって試験操業を終了。水揚げと流通量を段階的に拡大し、数年後の本格操業移行を目指す。

福島の現状:帰還困難区域の一部に住民帰宅へ

東京電力福島第1原子力発電所事故による放射線物質の放出・拡散により、原発周辺の6町村の一部が現在も避難指示区域(帰還困難地域)に指定されている。同原発では、廃炉作業が続いている。

政府は、各町村の帰還困難地域のうち優先的に除染が進められている「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」で、2022年春から順次避難指示の解除を行う方針。大熊町や浪江町では立ち入り規制が緩和され、住民が自宅で寝泊まりできる「準備宿泊」も始まった。しかし、帰還を望む住民は今のところ、極めてわずかな数にとどまっているのが実情だ。

福島第1原発で増え続ける「処理水」(核燃料の冷却などに使った汚染水の放射性物質をろ過プロセスで取り除き、除去が難しいトリチウムなどが一部残存している水)について、政府は21年4月13日、これを薄めて23年春に海洋放出する計画を承認。国内外から懸念が示され、国際原子力機関(IAEA)の調査団が22年2月、現地を訪れて検証作業を行った。

台湾当局は22年2月21日、福島第1原発事故後から続けてきた福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品輸入禁止措置を、同日付で解除したと発表した。台湾は中国と並び、これまで最も厳しいレベルの規制措置をとっていた。

バナー写真:東日本大震災の甚大な被害から復旧した福島県浪江町の請戸漁港で行われた、漁船の出初め式=2022年1月2日(時事)

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