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脱炭素社会への取り組み:実現へのロードマップ策定済み企業はわずか16%―日本総研など調査

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政府のカーボンニュートラルの目標に関連し、エネルギー使用量が多く国への報告義務を負う企業のうち、8割以上がまだ実現に向けたロードマップ(行程表)を策定できていないことか民間シンクタンクの調査で分かった。

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を森林などによる吸収量から差し引いて、全体としてゼロにすること。政府は2050年までに排出量を実質ゼロにし、カーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。

根拠法の中心となる省エネ法では、1年間の原油換算のエネルギー使用量が1500キロリットル以上の工場設置業者や、トラックの保有数が200台以上の輸送業者といった企業を規制対象とし、エネルギー使用量などの報告義務を課している。

調査はシンクタンク大手の日本総研などが、報告義務のある7業種計309社を対象に、2022年1月までにアンケート形式で実施。温室効果ガス排出削減に向けた企業の具体的な行動計画を示す行程表については、政府が目標達成を目指す2050年までのものを策定している企業は16%にとどまり、残りの84%は策定していないとの回答だった。

策定していると答えた16%のうち10%は、自社での対策に加えて原料の調達先などを含めたサプライチェーン(供給網)全体について策定済みで、6%は自社で使う電力や熱、蒸気エネルギーに限定して策定していた。

再生可能エネルギーの導入などの排出削減策に伴い、エネルギーコストが上昇することを「受け入れる」とした回答は、運輸・郵便業で32%、最終製品を手掛ける製造業で25%、中間製品まで手掛ける製造業で18%、卸売・小売業で23%などとなった。

また、燃料燃焼など企業自らが直接排出する温室効果ガスの削減策について、「計画済み・実施済み」と答えた対策は、「省エネ」が44%と最も多く、以下、「熱需要における電化」(21%)、「脱炭素燃料・ガスへの燃料転換」(19%)、「輸送における電化」(18%)などが続いた。

事業者が直接排出する温室効果ガスの削減取り組み状況(%、単数回答)

計画済み・実施済み 検討予定
省エネ 44 37
天然ガスへの転換 17 48
輸送における電化 18 48
熱需要における電化 21 42
脱炭素燃料・ガスへの燃料転換 19 42
CCUS(二酸化炭素の回収、利用、貯留) 15 39

(日本総研など調査、2022年1月発表)

バナー写真:PIXTA

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