温室ガス排出: 2020年度は過去最少の11億4900万トン―コロナ禍の経済停滞で前年比5%減
環境・自然・生物 経済・ビジネス
環境省によると、2020年度の日本の温室効果ガス総排出量は、二酸化炭素換算の速報値で前年度比5.1%(6200万トン)減の11億4900万トンとなり、19年度に続き過去最少を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞で、特に企業のエネルギー消費が減ったのが要因とみられる。
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排出量の減少は7年連続。調査では主な温室効果ガスとして、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、代替フロンなどを挙げており、うち二酸化炭素が全体の90.8%と大部分を占めている。
日本政府は日本の温室効果ガスの排出を2050年に「実質ゼロ」にすると宣言しており、当面の目標として、30年度の排出量を13年度比で46%削減することを目指している。13年度の排出量はこれまでの最高の14億800万トンだったが、それと比べると20年度の実績は18.4%の減少となり、目標にはまだ開きがある。
発電や熱の生産に伴うCO2排出量を、その電力や熱の消費者からの排出として計算した「電気・熱配分後のCO2排出量」を主な部門別にみると、最も多い産業部門が前年度比8.3%減の3億5300万トンで、以下、運輸部門が同10.2%減の1億8500万トン、業務その他部門が同4.1%減の1億8400万トンと軒並み大きく減少した。一方で4番目に多い家庭部門は、逆に4.9%増の1億6700万トンとなった。コロナ下でテレワークなどが増えた影響が反映されたとみられる。
CO2の部門別排出量(電気・熱配分後。単位・百万トン)
年度 | 1990 | 2005 | 2013 | 2019 | 2020 |
---|---|---|---|---|---|
産業(工場など) | 503 | 467 | 463 | 385 | 353 |
運輸(自動車など) | 208 | 244 | 224 | 206 | 185 |
商業・サービス・事業所など | 131 | 220 | 238 | 192 | 184 |
家庭 | 129 | 171 | 208 | 160 | 167 |
(環境省調べ、2020年度は速報値)
バナー写真:PIXTA