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海底火山・福徳岡ノ場のプロフィール : 新島形成と海没を繰り返す

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沖縄本島の広範囲に大量の軽石が漂着、漁業や観光産業、離島との定期航路に影響が出ている。軽石は8月に噴火した小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかの場)」から約2カ月かけて沖縄や鹿児島の奄美諸島に流れ着いたとみられている。福徳岡ノ島のこれまでの火山活動を振り返る。

福徳岡ノ場は日本に111ある活火山のひとつ。小笠原諸島の南硫黄島の北側に位置する海底火山。記録に残っているものとしては、1904年、1914年、1986年にも噴火により新島を形成したが、いずれも短期間で海没している。

2005年、2010年は新島形成には至らなかったものの、周辺海域の変色が確認されており、噴火活動が断続的に続いているとみられている。

2021年8月13日に発生した噴火は、午後1時20分から午後7時50分の間に16~19キロメートルの高さまで噴煙を上昇させ、その後は間欠的な噴火に移行して15日まで続いた。産業技術総合研究所の地質調査総合センターによると、明治以降に日本列島で発生した噴火の中では最大級に分類されるレベルで、1914年の桜島火山大正噴火に次ぐ規模だったという。

福徳岡ノ場の主な火山活動

2021年10月 初旬頃から鹿児島県奄美諸島や沖縄の海岸に軽石が漂着
2021年8月 8月13日海底噴火で噴煙が約16~19kmに達する。明治以降の日本列島の火山噴火としては最大規模。新島が2つ形成されるが、26日、東側の島は海没
2010年2月 海底噴火による噴煙、小規模のマグマ水蒸気爆発。
2005年7月 海底噴火により100m以上の水柱を視認。黒っぽい岩塊が水蒸気を発しながら海面浮遊。オレンジがった茶色の長さ1000mの変色水域
1996年4月 濃変色水
1987年7月 軽石放出
1986年1月 海底噴火により新島形成。噴火活動は短期間で終了、3月海没
1916年6月 新島消滅
1914年1月 海底噴火により新島形成。高さ300m、周囲11.8km。2月に各所で決壊
1905年6月 新島は徐々に海没して礁に
1904年12月 海底噴火により新島形成。高さ145m、周囲約4.5km、ほぼ円形

海上保安庁、産業総合研究所・地質調査総合センター等のサイトで公開されている情報を基に作成

噴火で発生した大量の軽石は、海流に乗って約2カ月をかけて10月初旬頃から1300キロメートルほど離れた奄美諸島や沖縄に漂着しはじめた。沖縄では、海岸線や港湾が軽石で埋め尽くされ、漁業や離島との行き来に影響を来たしている。

軽石は今後は、黒潮にのって東海や関東地方に接近すると見られている。

沖縄本島に漂着した、小笠原諸島の海底火山から噴出したとみられる軽石=24日、沖縄県国頭村[海上保安庁提供](時事)
沖縄本島に漂着した、小笠原諸島の海底火山から噴出したとみられる軽石=10月24日、沖縄県国頭村[海上保安庁提供](時事)

1986年の噴火の際にも、浮き上がった軽石が海面を埋め尽くした。遠方の島は南硫黄島(海上保安庁提供)
1986年の噴火の際にも、噴出した軽石が海面を埋め尽くした。遠方の島は南硫黄島(海上保安庁提供)

バナー写真 : 2021年8月13日の福徳岡ノ場の海底噴火で形成された新島。当初は2つの島だったが、東側の島は海没し、西側の島だけが残っている。(海上保安庁提供、10月12日撮影)

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