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「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録:奄美・沖縄に続き、国内25件目

文化 歴史 伝統

北海道と青森、岩手、秋田にまたがる縄文遺跡群が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。26日には「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の自然遺産登録が決定しており、2件の世界遺産が登録される異例の年となった。

農耕以前の定住社会と文化を伝え、奄美・沖縄と共に登録

ユネスコは2021年7月27日、オンライン開催となった世界遺産委員会で、日本が推薦した「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録を決定した。日本最大級の縄文集落跡・三内丸山遺跡(青森市)や、「秋田のストーンサークル」と呼ばれる大湯環状列石(鹿角市)など、北海道と、青森、岩手、秋田の東北3県に点在する17の遺跡で構成される。

紀元前1万3000年から、稲作が広まった弥生時代(前3世紀-後3世紀)までの1万年以上にわたった縄文時代。同時期の日本以外の地域では、農耕や牧畜を基盤に定住したのに対し、縄文人は狩猟や採集、漁をしながら、竪穴住居の集落や共同墓地、祭祀(さいし)場を築いた。環状列石など同一の文化が津軽海峡を挟んで点在するため、交易もしていたと推測される。ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は、「農耕以前の定住社会と複雑な精神文化を示し、定住社会の発展段階や多様な環境変化への適応を示している」と評価し、登録勧告していた。

26日には、20年推薦分の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の自然遺産登録も決定している。国内の世界遺産は合計25件、文化遺産は20件となった。

国の特別史跡 大湯環状列石 写真:秋田県観光連盟
国の特別史跡 大湯環状列石 写真:秋田県観光連盟

日本のユネスコ世界遺産  (*は自然遺産)

登録順 登録対象 登録時期
1 法隆寺地域の仏教建造物(奈良県) 1993年12月
2 姫路城(兵庫県) 1993年12月
3 屋久島(鹿児島県)* 1993年12月
4 白神山地(青森県、秋田県)* 1993年12月
5 古都京都の文化財(京都府、滋賀県) 1994年12月
6 白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県) 1995年12月
7 原爆ドーム(広島県) 1996年12月
8 厳島神社(広島県) 1996年12月
9 古都奈良の文化財(奈良県) 1998年12月
10 日光の社寺(栃木県) 1999年12月
11 琉球王国のグスクおよび関連遺産群(沖縄県) 2000年12月
12 紀伊山地の霊場と参詣道(奈良県、和歌山県、三重県) 2004年7月
13 知床(北海道)* 2005年7月
14 石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県) 2007年6月
15 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県) 2011年6月
16 小笠原諸島(東京都)* 2011年6月
17 富士山-信仰の対象と芸術の源泉(山梨県、静岡県) 2013年6月
18 富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県) 2014年6月
19 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、山口県、岩手県、静岡県) 2015年7月
20 ル・コルビュジエの建築作品-近代建築への顕著な貢献-(国立西洋美術館=東京都) 2016年7月
21 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県) 2017年7月
22 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県) 2018年6月
23 百舌鳥・古市古墳群(大阪府) 2019年7月
24 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(鹿児島県、沖縄県)* 2021年7月
25 北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県) 2021年7月

バナー写真:縄文時代前期中頃から中期末の大規模集落跡で、国特別史跡の三内丸山遺跡(出典:JOMON ARCHIVES

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