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奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の登録決定 : 国内24件目の世界遺産

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鹿児島の奄美大島と徳之島、沖縄の本島北部、西表島が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録された。日本国内の世界遺産としては24件目、自然遺産では5件目となる。

生物多様性保全の重要地域、自然遺産10年ぶり

ユネスコは2021年7月26日、世界遺産委員会(オンライン開催)で、日本が推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を世界自然遺産に登録することを決定した。鹿児島は「屋久島」、沖縄では「琉球(りゅうきゅう)王国のグスクおよび関連遺産群」に次いでそれぞれ2件目、南琉球に位置する西表島が含まれるため、国内最南端、最西端の世界遺産となる。

かつて琉球列島はユーラシア大陸の一部であったが、太古の地殻変動によって分断・孤立。4つの島、5つのエリアで構成される対象区域には、亜熱帯の照葉樹林やマングローブ林など豊かな自然が広がり、独自の生態系が残る。奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギ、沖縄北部のヤンバルクイナ、西表島のイリオモテヤマネコを代表に、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに記載される絶滅危惧種が95種も生息。生物多様性の保全において極めて重要な地域であることが評価された。

左上から時計回りにアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ(写真:OCVB_K.P.V.B)、イリオモテヤマネコ(写真:OCVB)
左上から時計回りにアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ(写真:OCVB_K.P.V.B)、イリオモテヤマネコ(写真:OCVB)

政府は当初、2018年の登録を目指していたが、IUCN から延期勧告を受けていったん取り下げ。20年の登録を見据え、対象区域を見直し、「生物多様性」に焦点を絞った推薦書を再提出していた。新型コロナウイルス流行の影響で、世界遺産委員会が1年延期となったことで、先送りになっていた。国内の世界自然遺産は、11年の小笠原諸島(東京)以来10年ぶり。

同会議では、21年推薦分の「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)についても審議される。すでに国際記念物遺跡会議(イコモス)の登録勧告が発表されており、国内の世界遺産は25件に増える見通しだ。

日本のユネスコ世界遺産  (*は自然遺産)

登録順 登録対象 登録時期
1 法隆寺地域の仏教建造物(奈良県) 1993年12月
2 姫路城(兵庫県) 1993年12月
3 屋久島(鹿児島県)* 1993年12月
4 白神山地(青森県、秋田県)* 1993年12月
5 古都京都の文化財(京都府、滋賀県) 1994年12月
6 白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県) 1995年12月
7 原爆ドーム(広島県) 1996年12月
8 厳島神社(広島県) 1996年12月
9 古都奈良の文化財(奈良県) 1998年12月
10 日光の社寺(栃木県) 1999年12月
11 琉球王国のグスクおよび関連遺産群(沖縄県) 2000年12月
12 紀伊山地の霊場と参詣道(奈良県、和歌山県、三重県) 2004年7月
13 知床(北海道)* 2005年7月
14 石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県) 2007年6月
15 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県) 2011年6月
16 小笠原諸島(東京都)* 2011年6月
17 富士山-信仰の対象と芸術の源泉(山梨県、静岡県) 2013年6月
18 富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県) 2014年6月
19 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、山口県、岩手県、静岡県) 2015年7月
20 ル・コルビュジエの建築作品-近代建築への顕著な貢献-(国立西洋美術館=東京都) 2016年7月
21 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県) 2017年7月
22 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県) 2018年6月
23 百舌鳥・古市古墳群(大阪府) 2019年7月
24 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(鹿児島県、沖縄県)* 2021年7月

バナー写真:西表島・仲間川流域のマングローブ林(写真:OCVB)

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