ソフトバンクグループ:純利益が日本企業最大の約5兆円、ベンチャーから40年で投資会社に
経済・ビジネス
ソフトバンクグループ(SBG)の2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が4兆9879億円に達した。ソフトウエア販売や携帯電話事業として起業して以降、投資会社へと事業の軸足を移した同社は、世界的株高の追い風を受けた。トヨタ自動車を上回り、日本企業として過去最高の純利益を記録した。
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孫正義会長兼社長が前身の日本ソフトバンクを設立したのは、1981年。それから40年後となるSBGの21年3月期決算は、投資先の米料理宅配サービス「ドアダッシュ」や韓国インターネット通販大手「クーパン」が上場し、含み益が大幅に膨らんだ。
国内企業の純利益は、これまでトヨタ自動車が18年3月期に計上した2兆4939億円が最高。5兆円近い純利益は、20年度の本決算で比べると、世界1位の米アップル(6兆円強)、サウジアラビア国策石油会社サウジアラムコ(5兆円強)に続く世界3位で、SBGは国際企業の一角に躍り出た。
ただ、アップルや米グーグルといった「GAFA」が革新的なサービス、技術で収益を拡大する一方、SBGは投資先のベンチャー企業の成長に依存しており、株式相場の影響を受けやすい。前年の20年3月期には過去最悪の赤字を計上している。
孫氏も決算発表記者会見で、最高益について「今回は『たまたま』が重なった。あまり胸を張って言える状況ではない」と認めた。また、投資先の英金融サービス「グリーンシル・キャピタル」の経営破綻などで損失を出したことから、「投資の失敗は謙虚に受け止める。『ばくち』ではなく、継続的に利益を出せる仕組みを作りたい」と語った。
SBGが今後の投資の柱に挙げるのは、新型コロナウイルス危機後をにらんだ人工知能(AI)分野だ。傘下ファンドではAIを活用した融資判断や動画編集、流通サポートなど幅広い事業に投資を始めた。もっとも、今後、インフレ懸念などが強まれば市場が調整局面に入る可能性がある。SBGの含み益が吹き飛ぶ可能性もあり、投資の見極めやリスク管理がさらに重要になる。
バナー写真:オンライン記者会見で決算を説明するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(時事)