コロナ禍で本の需要増加:2020年の販売額は推定1兆6000億円に
経済・ビジネス 文化
出版業界の調査、研究を行う全国出版協会・出版科学研究所の調べによると、2020年の紙と電子出版の合計推定販売額は前年比4.8%増の1兆6168億円となり、特に電子は同3割弱の大きな伸びを示した。コロナ禍で外出の自粛や在宅時間の増加、娯楽の制限があったことや、「巣ごもり消費」が伸びたことが背景にあるとみられる。
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20年の紙の出版物(書籍・雑誌)の販売額は同1.0%減の1兆2237億円だったが、同4.3%減だった19年と比べると下げ幅が縮小した。販売額の内訳は、書籍が0.9%減の6661億円、雑誌が1.1%減の5576億円。また、コミックス(単行本)は24%増と大きく伸びた。
電子出版は28.0%増の3931億円で、19年(23.9%増)を上回る伸びを示した。内訳は、電子コミックが31.9%増の3420億円、電子書籍が14.9%増の401億円、電子雑誌が15.4%減の110億円。出版市場全体における電子出版の占有率は、前年の19.9%から4.4ポイント上昇し、24.3%となった。
同研究所は、コミックについては紙、電子ともに、爆発的なヒットとなった『鬼滅の刃』が販売のけん引役になったとしている。
一方、NEXERが運営する日本トレンドリサーチが全国の男女1600人を対象に1月下旬に実施したアンケート調査によると、「コロナ禍以降、紙の書籍・雑誌を購入する機会が増えたか」との質問に対する回答は、「増えた」が14.1%、「変わらず」が75.5%、「減った」が10.4%となった。増えた理由については、「飲食やショッピングの機会は減ったが、書店に行く機会は増えた」、「巣ごもりで本を購入する機会が増えた。電子書籍より紙のほうが目が疲れない」などの回答があった。
バナー写真:書店の店頭に並ぶ「鬼滅の刃」最終巻=2020年12月4日、東京都千代田区の丸善丸の内本店(時事)