刑法犯74万件と18年連続で減少:検挙者の2割は65歳以上の高齢者
社会
法務省の「2020年版犯罪白書」によると、2019年に全国の警察が把握した刑法犯の認知件数は、前年より6万8779件(8.4%)少ない74万8559件。02年の約285万件をピークに17年連続で減少し、戦後最少を更新した。
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刑法犯の7割以上を占める窃盗のうち、自転車盗や空き巣の件数が減り続けていることが主な理由だ。この背景には、防犯カメラの普及あると見られている。
凶悪犯罪をみると、殺人事件の認知件数は950件で、前年より35件増加した。強盗は1511件(前年比276件減)、放火は840件(同51件減)だった。
刑法犯で検挙された人数は、前年より1万3487人(6.5%)少ない19万2607人。うち65歳以上の高齢者は4万2463人。前年比で5.1%減っているものの、人口全体の高齢化が進む中で他の年齢層の検挙者も減っていることで、高齢者率は22.0%と過去最悪を記録した。
高齢者の罪名別構成比をみると、半数以上の52.4%が万引き。以下多かったのは、万引き以外の窃盗(17.6%)、傷害・暴行(14.2%)、横領(5.4%)などだった。全年齢層では万引きが28.7%、万引き以外の窃盗が20.1%となっており、高齢者の犯罪に窃盗が多いことが浮き彫りになった。特に女性高齢者では、万引きは75.6%に上っている。
検挙者のうち、再犯者は9万3967人で、全検挙者の48.8%を占めた。再犯者数は06年の14万9164人をピークに漸減傾向にあるが、初犯者数も減少傾向にあるため、再犯者率はここ数年、高止まり状態にある。
バナー写真:女子高校生の遺体が見つかった福井市の住宅周辺を調べる捜査員=2020年9月11日(時事)