若い世代の「死因トップが自殺」はG7で日本だけ : 未成年自殺率、最悪を更新
健康・医療 社会 暮らし
若い世代の死因のトップが自殺――世界的にみれば経済的に恵まれ、衛生・医療環境が整った国で、自ら死を選ぶ人が多いことの意味を、社会全体で重く受け止めなければらない。
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厚生労働省がまとめた2020年版自殺対策白書によると、2019年の自殺者数は10年連続で減少し、過去最少の2万169人だった。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺率も、全体では10年連続で低下。19年は16.0で統計を取り始めた1978年以降で最も低かった。
しかし、20歳未満の自殺者数は前年比10.0%増の659人で、2000年以降では最多となった。自殺率も前年比0.3ポイント増の3.1で最悪を更新している。遺書などから推定できた原因・動機を1人につき3つまで計上した結果、延べ618人中、学校問題の202人が最多で、健康問題(138人)と家庭問題(116人)が続いた。
年代別の死因順位をみると15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっている。15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。
年齢階級別の死因上位3位
年齢 | 死因の上位3位 |
---|---|
全体 | がん / 心疾患 / 老衰 |
10~14 | がん / 自殺 / 不慮の事故 |
15~19 | 自殺 / 不慮の事故 / がん |
20~24 | 自殺 / 不慮の事故 / がん |
25~29 | 自殺 / がん / 不慮の事故 |
30~34 | 自殺 / がん / 不慮の事故 |
35~39 | 自殺 / がん / 心疾患 |
40~44 | がん / 自殺 / 心疾患 |
45~49 | がん / 自殺 / 心疾患 |
出所 : 厚生労働省「人口動態統計」
先進7カ国+韓国の15~34歳の死因上位3位 自殺の欄の()は自殺率
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
日本 | 自殺(16.3) | 事故 | がん |
フランス | 事故 | 自殺(7.9) | その他 |
ドイツ | 事故 | 自殺(7.5) | がん |
カナダ | 事故 | 自殺(10.6) | がん |
米国 | 事故 | 自殺(14.1) | 殺人 |
英国 | 事故 | 自殺(7.4) | がん |
イタリア | 事故 | がん | 自殺(4.1) |
韓国 | 自殺(16.3) | 事故 | がん |
出所 : 厚生労働省「自殺対策白書」/フランス2014年、カナダ2013年、それ以外は2015年のデータ
バナー写真 : PIXTA