日本最強の殺人生物は、クマでも毒ヘビでもなく、ハチ!
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ハイキングや山菜採りや渓流釣りなど、レジャーのために山に入る機会が多い季節。「山で出会いたくない動物は?」と聞かれたら、多くの人が「クマ」と答えるのではないだろうか。100キロ前後の巨体に、鋭いカギ爪で襲い掛かられるなんて、考えただけで恐ろしい。環境省のまとめによると、2008~18年度の11年間に国内でクマに襲われて死亡した人は22人で、平均すると毎年2人が死亡している。
実は、クマ以上の殺人動物がいるのをご存知だろうか。厚生労働省の人口動態統計によると、2008~18年の11年間でハチに刺されて死亡した人は191人に上り、年平均では17人強となる。毒ヘビやサメなどを原因とする死亡事故はクマよりもさらに数が少ないため、国内ではハチが最強の殺人生物なのだ。
人間を攻撃するハチは、主にアシナガバチ類とスズメバチ類だが、特に、スズメバチは攻撃性が高いとされている。ハチの毒は微量で、それが直接の死因になることはないが、一度刺されるとハチ毒に対する抗体ができ、2度目に刺されると、激しいアレルギー症状(アナフィラキシーショック)で血圧が急低下し、呼吸困難や意識障害によって、短時間で死に至ることがあるのだ。
ハチによる死亡事故が多いのは、本当はハチがクマよりも強いわけではなく、人間とハチの生活域が近接しているためでもある。ハチに刺されないためには、巣を見つけてもむやみに近づかない。ハチは黒いものを攻撃する性質があるため、野山に行く際には、白っぽい服装で、黒髪の人は帽子をかぶることが大切。また、ハチと遭遇して、慌てて手で払いのけようとすると、警戒フェロモンが発散され、瞬時に興奮したハチが集まってくる恐れがある。走らず、騒がず、静かに身を低くしてゆっくり後ずさりしてその場を離れることが、身を守ることにつながるという。
万が一、ハチに刺されたら、毒を絞り出しながら流水で洗い、腫れや痛みがひどい場合には病院を受診する。特に、スズメバチの場合は、注意が必要。
バナー写真 : ツキノワグマ(PIXTA)、スズメバチ(ぱくたそ)