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人手不足感が急低下―帝国データバンク : インバウンド需要消え、旅館・ホテルは「過剰」

経済・ビジネス 社会

1年前の今頃、たくさんのツーリストが日本にやってきて、日本全体がインバウンド需要に盛り上がっていた。「東京五輪・パラリンピックの開催まであと1年」と浮き立っていた。新型コロナウイルスという目に見えない敵によって世界の社会経済活動は停止に追い込まれ、需要は吹き飛び、仕事もなくなる!?

帝国データバンクの人手不足に対する企業の動向調査(2020年4月)で、正社員について「不足している」と回答した企業は、前年同月比19.3ポイント減の31.0%だった。4月としては4年ぶりに4割を下回り、人手不足感は急激に低下した。半数近い47.2%は「適正」と回答。「過剰」は13.5ポイント増の21.9%だった。

正社員の「不足」感は前年からほぼ半減して16.6%に低下。「過剰」は21.6%だった。

人手不足割合を月次の推移でみると、3月と4月の落ち込みが激しい。新型コロナウイルスの感染拡大で、経済活動が停滞、業務量が大幅に減少したことが影響したとみられる。

人手不足感が低下するどころか、「過剰」と感じている割合が急増している業種もある。特に、インバウンド需要に支えられていた「旅館・ホテル」は2月以降、訪日外国人が激減しているため、「過剰」が6割を超えた。外出自粛要請で「飲食店」や「娯楽サービス」でも過剰感が高まっているほか、生産活動にも影響が出たことで、製造業も前年と比べて過剰の割合が増えた。

従業員が「過剰」としている上位10業種(%)

正社員

2020年4月 2019年4月
旅館・ホテル 62.5 8.0
飲食店 48.2 9.5
娯楽サービス 43.9 9.3
輸送用機器・器具製造 41.8 10.3
出版・印刷 40.0 18.8
繊維・繊維製品・服飾品卸売 36.6 17.8
広告関連 34.9 8.7
鉄鋼・非鉄・鉱業 34.1 12.7
人材派遣・紹介 31.3 9.4
機械製造 30.9 10.3

非正社員

2020年4月 2019年4月
旅館・ホテル 69.0 4.2
飲食店 56.4 4.8
輸送用機器・器具製造 51.0 9.2
娯楽サービス 32.7 9.4
鉄鋼・非鉄・鉱業 32.2 11.2
広告関連 31.5 7.2
人材派遣・紹介 29.8 4.2
再生資源卸売 29.7 11.4
機械製造 29.3 8.1
繊維・繊維製品・服飾品製造 28.6 4.7

出所 : 帝国データバンク

バナー写真 : PIXTA

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