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「1日8000歩」は月1未満 : 歩かない日本人

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生活習慣病の予防ばかりでなく、ストレス軽減にも効果大といわれるウオーキング。厚生労働省では、成人の1日の目標歩数を8000歩程度としている。ところが、一般社団法人ストレスオフ・アライアンスの調査で、大半の日本人に「歩く習慣」がないことが判明した。

東京都健康長寿医療センター研究所によると、1日の平均歩数が1000歩(徒歩10分に相当)増すごとに、発症を抑えることができる病気が増える。歩くことは、うつ病やがん、脳卒中、心疾患、認知症に加えて、高血圧、糖尿病、メタボの予防にもつながる。但し、健康効果の最大値は8000歩とされる。同研究所の青柳幸利氏は、理想的なウォーキングとして「1日8000歩、そのうちの20分間は速歩き」を提唱している。

一般社団法人ストレスオフ・アライアンス(渋谷区)は2018年10月に設立。産官学の有識者によるさまざまな視点からストレス性疲労を研究している。19年3月、全国14万人(男女各7万人)を対象に「ココロの体力測定」と題するインターネット調査を実施。「8000歩」に着目して、歩く習慣やストレスとの関係性についてまとめた。

「1日8000歩程度」歩く頻度を尋ねたところ、女性の69.7%、男性の62.4%が「月1日未満」と回答。「週1日以上」は、女性18.5%、男性が26%にとどまった。男女別では女性の方が、年代別では男性の20代、女性の20~30代が、歩く習慣が少ない傾向にある。

都道府県別に、「1日8000歩」を週4日以上実行している人の割合を見ると、男女とも上位は通勤時間が長い傾向にある首都圏が多かった。下位は、男性は雪国、女性は四国地方が目立つ。

都道府県別「1日8000歩」週4日以上の人の割合(上位・下位各5団体)

  女(%) 男(%)
1 東京  10.7 神奈川 17.5
2 神奈川  10.7 東京  17.2
3 京都  10.2 千葉  16.9
4 大分  9.2 埼玉  16.1
5 埼玉  8.7 奈良  15.6
43 徳島  4.4 宮崎  9.7
44 高知  4.4 栃木  9.6
45 山形  4.3 秋田  8.7
46 佐賀  3.4 新潟  8.6
47 香川  2.9 山形  8.3

出所 : ストレスオフ・アライアンス

ストレスレベル別で見ると、低ストレス男性は週4日以上、低ストレス女性は週1日以上を習慣にしている人が多い。歩く頻度と健康満足度の相関性では、男女とも「週1日以上」から高くなり、「週4日以上」の習慣がある人の満足度が非常に高いことが分かった。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、不要不急の外出自粛を求められたり、多くの企業がテレワークを推進したりしたことで、歩く機会がますます減っている人が多いのではないだろうか。また、今後、緊急事態宣言が解除されても、従来のような「毎日通勤」スタイルから、通勤とテレワークを組み合わせたハイブリッド型勤務も増えそうだ。

健康を維持することは、感染症に対する有効な防御策。集団で大きな声でおしゃべりしながらの散歩はご法度だが、1人や限られた人数でウオーキングする分には、感染リスクは低いと言われている。マスクを着け、人が少ない時間・場所を選び、他者との距離を2メートル以上開け、帰宅後はうがい、手洗いを忘れない――こうした感染症対策の基本を順守して、ウオーキングを生活に取り入れてみてはいかがだろうか。

バナー写真 : PIXTA

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