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高齢者を食い物にする特殊詐欺:2019年の被害額は前年比2割減の301億円

社会

「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺は2019年、認知件数、被害金額ともに前年より減少。しかし、被害者を巧妙にだまし、キャッシュカードを「すり替えて」盗むという新しい手口の事件が増えている。

警察庁がまとめた2019年の特殊詐欺の認知件数は、前年比5.6%(1008件)減の1万6836件、被害額は同21.3%(81億4000万円)減の301億5000万円だった。

被害額は減っているものの、8年連続の300億円越えとなった。1日あたりでは約8260万円がだまし取られており、深刻な状況にある。被害者は高齢者(65歳以上)の女性が多く、全体の65.0%に達する。特に親族を装ってだます「オレオレ詐欺」では84.3%を占めており、80歳前後に被害が多発している。

手口の内訳をみると、「オレオレ詐欺」が前年比26.8%(2448件)減の6697件、「架空請求詐欺」が同26.8%(1298件)減の3546件、融資をするように偽って保証金などを要求する「融資保証金詐欺」が同17.6%(74件)減の347件となった。

一方、医療費や税金の還付を装う「還付金詐欺」は、前年同期より25.2%(479件)増えて2383件となり、被害額も33.7%増の約30億1000万円となった。

特殊詐欺の分類と主な手口

振り込め詐欺 オレオレ詐欺 身内を装って電話をかけ、現金が急に必要になったと相手に信じ込ませて、動転した被害者にお金を口座振り込みさせる
架空請求詐欺 架空の事実を口実に金品を請求する文書を送り、被害者にお金を口座振り込みさせる
融資保証金詐欺 融資を受けるための保証金の名目で、被害者にお金を口座振り込みさせる
還付金等詐欺 市町村の職員などを装い、医療費の還付などに必要な手続きを装って被害者にATM経由で送金させる
振り込め詐欺以外の特殊詐欺 金融商品の取り引き名目、ギャンブル必勝情報提供などの名目、異性との交際あっせん名目などで被害者から現金を受け取る

最近の特徴として、大幅に増えているのがキャッシュカードの窃取だ。犯人側が警察官や金融機関の職員を装い、高齢者らに「キャッシュカードが悪用されている」とうその電話をかけて自宅を訪問。カードの点検・交換が必要だと説明し、暗証番号を書いた紙と一緒にカードを封筒に入れさせ、「証拠品なので厳重に保管してください」と命じる。その後、書類に押印が必要などと話して被害者がいったんその場を離れた隙に別の封筒とすり替えてしまう。

この手口での19年の被害は、前年比2.8倍の3773件。被害額も同2.8倍の約52億1200万円に達した。

バナー写真:(CORA/PIXTA)

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