Japan Data

日本の盲導犬:928頭が稼働中も数は漸減、欧米と大きな差

社会

視覚障害者とともに生活する盲導犬は、現在日本に900頭余り。約3000人の希望者がいるが、実働数は伸び悩んでいる。

社会福祉法人・日本盲人社会福祉施設協議会の集計によると、2019年3月末の国内の盲導犬実働数は前年より13頭少ない928頭となり、9年連続で減少した。欧米との格差は大きく、盲導犬を希望する視覚障害者のための頭数確保に向けた対策が課題になっている。

盲導犬の実働頭数は、1970年代には100~200頭程度だったが、80年代後半に600頭前後にまで急増し、2000年代後半には1000頭を超えた。しかし、2010年ごろを境に漸減傾向に転じた。ここ数年の育成頭数も、おおむね120~150頭と、ほぼ横ばいで推移している。

国際盲導犬連盟(IGDF)の2018年度年次報告書の実働頭数集計によると、英国は5000頭弱、米国1万頭弱、オーストラリア1000頭超などとなっており、人口比で見ると日本はまだまだ少ない方だ。

主な国々の盲導犬実働頭数

世界 約2万2000頭
英国 5000頭弱
フランス 1000頭以上
ドイツ 約600頭
米国 1万頭弱
オーストラリア 1000頭以上

(IGDFの2018年度年次報告書より)

公益財団法人・日本盲導犬協会によると、国の障害者認定を受けた視覚障害者は現在約31万人、盲導犬の潜在的な希望者はこのうち約3000人と推定されている。頭数が近年伸び悩んでいる理由としては、高齢化した既存のユーザーが2頭目、3頭目となる「代替」犬を望まないケースが増えていること、情報不足などから新規ユーザーの数が伸び悩んでいること、訓練士の近年の「働き方改革」などの要因で、盲導犬の育成体制が曲がり角を迎えていることなどが指摘されている。

盲導犬は生後2カ月から1歳までパピーウォーカーと呼ばれる一般家庭で育てられた後、2歳まで訓練センターで訓練を受ける。テストに合格すると、将来パートナーとなる視覚障害者との共同訓練を経て正式な盲導犬となり、10歳ごろに引退する。盲導犬を育成する団体は現在、日本盲導犬協会など11があり、視覚障害者に盲導犬を無償で貸与している。

同協会の吉川明専務理事は「実働数の減少については、危機感を持っている。問題点を是正し、現実的な目標として1200頭の稼働を目指したい」と話している。

バナー写真:(Nori/PIXTA)

福祉 障害者