入浴中の急死:「ヒートショック」などで年間1万9000人の推計も
社会
自宅などで入浴中に溺れて死亡する高齢者(65歳以上)は日本全国で年5000人を超え、冬場が最も多い。脱衣場と浴槽内の急激な寒暖差により、血圧が大きく変動して心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」に要注意だ。
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厚生労働省の人口動態統計によると、2018年の家庭の浴槽での溺死者数は5398人で、前年比138人減、16年比で260人増となった。15年前の04年の死者は2870人。この数字と比べると2倍近くに増えており、ここ数年は5000人前後で高止まりの傾向になっている。
消費者庁が同統計などを分析した調査では、入浴中に何らかのアクシデントが起きて命を落とす人の数は年間約1万9000人と推計されるという。近年の高齢者人口激増を背景に、溺死者数のうち9割以上は65歳以上の高齢者となっており、とりわけ75歳以上の年齢層で増加している。冬季に増える傾向があり、その多くは、入浴時の急激な寒暖差により、血圧が大きく変動して心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」が原因とみられる。
同庁は、ヒートショック予防を含めた安全な入浴のための注意事項として、①入浴前に脱衣所や浴室を暖める②湯温は41度以下とし、湯につかる時間は10分までを目安にする③浴槽から急に立ち上がらない④食後すぐの入浴や、アルコールが抜けていない状態での入浴は控える―などを挙げている。
日本気象協会も、17年から、ヒートショックの危険度を「警戒」「注意」「油断禁物」の大きく3段階で示した「ヒートショック予報」をホームページ「tenki.jp」で公開している。
バナー写真:(GARAGE38/PIXTA)