日本の宇宙への取り組み : アポロ月面着陸から50年
科学 国際・海外
日本の宇宙開発は1955年、東京大学の糸川英夫博士らの「ペンシルロケット」の垂直発射実験から始まった。全長30センチほどの超小型ロケットが到達したのは高度600メートル。その小さな1歩から、小惑星探査機「はやぶさ2」の快挙まで、日本の宇宙開発の歴史を振り返る。
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米国の宇宙船アポロ11号が月面着陸を果たし、人類が初めて地球以外の天体に立ったのは1969年7月20日のことだった。冷戦の延長戦上で国と国との威信をかけた宇宙開発競争の時代から半世紀を経た今、巨額な資金を要する宇宙開発には国際協調と民間企業の資金力が不可欠になりつつある。
初期の人工衛星の打ち上げや有人宇宙飛行では米露に大きく遅れを取った日本だが、近年、「はやぶさ」「はやぶさ2」による小惑星探査の分野では、世界をリードする実績を上げている。これまでの日本の宇宙開発の歴史を振り返る。
年 | 出来事 |
---|---|
1955 | 東京大学生産技術研究所の糸川英夫博士を中心に超小型の「ペンシルロケット」の発射実験 |
1957 | ソ連が人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功 |
1961 | (4月)ソ連「ボストーク1号」で、ガガーリン少佐が人類初の有人宇宙飛行 (5月)米「マーキュリー・レッドストーン3号」が有人宇宙飛行に成功 |
1962 | 鹿児島宇宙空間研究所(現内之浦宇宙空間観測所)開設。L(ラムダ)ロケットを用いた宇宙空間観測を開始 |
1969 | (7月16日)米「アポロ11号」が3人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げ (7月20日)アームスロング船長らが人類初の月面着陸 |
1969 | (10月)宇宙開発事業団(JAXAの前身)設立。種子島宇宙センター開設 |
1970 | 東大宇宙航空研究所が日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。世界で4番目の人工衛星打ち上げ国となる(ソ連のスプートニクより13年遅れ) |
1975 | 宇宙開発事業団がN-Iロケット打ち上げ開始 |
1977 | 日本初の静止衛星きく2号の打ち上げに成功 |
1981 | 大型の衛星打ち上げが可能な改良型のN‐IIロケットの打ち上げ開始 |
1981 | 米「スペースシャトル」の打ち上げ開始 |
1986 | 国産の第2段目を搭載したH‐Iロケットの打ち上げ開始 |
1990 | TBS社員秋山豊寛さんがソ連のソユーズに搭乗し、日本人初の宇宙飛行士に。宇宙ステーション に6日間滞在(米・露より19年遅れ) |
1992 | 宇宙飛行士・毛利衛さんが米スペースシャトルに搭乗 |
1994 | 第1段目、第2段目、誘導制御システム等を初めて純国産化したH‐IIロケットの打ち上げ開始 |
1994 | 宇宙飛行士・向井千秋さんがスペースシャトルに搭乗し、アジア人女性で初の宇宙飛行 |
1997 | 世界最大の固体燃料打ち上げロケットM‐Vの打ち上げ開始 |
2001 | H‐IIの改良型であるH‐IIA打ち上げ。液体・固体ともに世界水準の性能を達成 |
2003 | 小惑星探査機「はやぶさ」打ち上げ |
2003 | 宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の3機関が統合して、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)として発足 |
2009 | 国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」の本格運用開始 |
2009 | 国際宇宙ステーションへ物資を補給する無人貨物船の打ち上げ成功。無人補給機は2010年「こうのとり」と命名され、7回号機まで全て無事故 |
2010 |
「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」の岩石を回収し地球帰還 |
2014 | 小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げ |
2019 | (2月)「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」に1回目の着地 (4月)リュウグウの地表に人工クレーターを作ることに成功 (7月)リュウグウに2回目の着地、地下の岩石試料採取に成功 |
2020 | (12月)「はやぶさ2」地球帰還 |
内閣府、JAXAウェブサイト等の情報を基に作成、グレーカラーの欄は日本以外の出来事
バナー : 小惑星リュウグウにタッチダウンを行う「はやぶさ2」のイメージ図(JAXA提供)