
上場企業の平均給与600万円台乗せ、格差は縮まらず
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上場企業の年間給与は安倍政権下で増え続け、平均で初めて600万円の大台に乗せた。ただ、全企業との給与格差は縮小の気配が見られない。
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信用調査会社の東京商工リサーチの調べでは、2018年決算(同年1月―12月期)ベースで見た上場企業2591社の平均年間給与は前年比1.1%増の606万2000円。役員報酬や従業員の給与の開示が義務付けられた11年決算から調査を始めており、初の600万円台乗せ。12年末に発足した安倍政権の6年間で36万1000円増えた計算になる。
一方、全ての民間企業を対象にした国税庁の民間給与実態統計調査によると、最新の17年は平均給与が前年比で増えたものの、432万2000円にとどまっており、上場企業(599万2000円)との格差は167万円ある。安倍政権の実質初年となった13年当時の158万円から差は拡大している。
安倍政権の経済政策アベノミクスの下で、日本銀行は異次元金融緩和により金利を思い切り下げ、大量に資金供給するとともに、政府も積極財政を展開。企業が利益を増やせれば、その分が給与増に結び付き、消費を持ち上げるという「トリクルダウン」(滴り落ちる)効果を打ち出している。その効果は上場企業など大企業の従業員には出ているようだが、それ以外の企業には恩恵が十分に行き届いていない。
商工リサーチによれば、上場企業の業種別給与では、活発な建設投資や人材確保のため賃金アップに動いた建設業が唯一700万円台に乗せトップだったほか、低金利下の地価上昇で利益を上げた不動産業が2位。金融・保険業は4位だったが、同じ金利低下でも収益悪化要因となり、給与は2年連続で前年割れとなった。
企業別では、合併・買収のアドバイザリー会社GCAが2063万3000円で首位。上位10社のうち商社が5社を占めた。
2018年の上場企業の平均年間給与ランキング
順位 | 企業名 | 金額(万円) |
---|---|---|
1 | GCA | 2063.3 |
2 | ヒューリック | 1636 |
3 | 三菱商事 | 1540.9 |
4 | 伊藤忠商事 | 1460.9 |
5 | 三井物産 | 1419.9 |
6 | 日本商業開発 | 1368.5 |
7 | ファナック | 1347.4 |
8 | 丸紅 | 1322 |
9 | 日本M&Aセンター | 1319.5 |
10 | 住友商事 | 1304.1 |
出典:東京商工リサーチ
写真:PIXTA