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中国に進出している日本企業、3年間で249社減少

経済・ビジネス

帝国データバンクが中国に進出する日本企業を対象に行った調査によると、2019年(5月時点)の進出企業数は1万3685社で、16年の前回調査時より249社減少した。

減少の背景には、近年の現地の人件費高騰などで、中国進出のメリットが薄まったことがあるとみられる。今後は、激化する米中貿易摩擦の影響も懸念される。

この調査は、同社が持つデータベース・信用調査報告書の中から、中国への進出が判明した日本企業について分析。初回の2010年以降1~3年ごとに実施し、今回が5回目となる。

製造、小売りが減り、不動産、金融保険は増加

それによると、中国に進出する日本企業は2010年は1万778社、12年は1万4394社、15年は1万3256社、16年は1万3934社と推移。今回19年の1万3685社という数字は、過去最多だった12年と比べると、709社減っている。

業種別にみると、2016年調査より進出企業数が減った業種は製造業、卸売業、小売業、サービス業の4業種。一方で、不動産業や金融保険業などでは進出企業は増加している。企業の規模別でみると、年商10億円を境に中堅・中小規模になるほど減少している。

中国進出企業の年商規模別動向(2019年)

年商規模 社数 16年比(%) 構成比(%)
1億円未満 504(552) ▲ 8.7 3.7
1~10億円未満 3,883(4,159) ▲ 6.6 28.4
10~100億円未満 6,066(6,058) 0.1 44.3
100~1000億円未満 2,611(2,560) 2.0 19.1
1000億円以上 605(569) 6.3 4.4

カッコ内は16年
(帝国データバンク調べ)

米中貿易摩擦でさらなる減少も

新たに中国に拠点を設けたことが判明した企業では、中国国内の需要を見越して現地生産工場を開設した例があったほか、既に進出している企業の中でも、中国市場の成長を見越した営業所の開設といった積極的な動きがあった。

その一方、中国から事業撤退した企業には、経済成長に伴う現地の人件費上昇、為替安などにより採算が悪化し、日本国内での生産に切り替えたり、東南アジアの諸国に生産設備を移転させたりしたケースが目立ったとしている。

また調査では、昨年来の米中貿易摩擦が激化する中、大手製造業や卸売業では中国企業との取り引き見直しや東南アジアへの生産拠点移設などの動きが既に出ており、今後、大手を含めて進出企業がさらに減少する可能性を指摘している。

バナー写真:tomcat/PIXTA

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