「都」「道」「府」「県」― 呼び名が違うのはなぜ? : 東京都が「特別」な理由
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「1都1道2府43県」——日本の広域自治体が「47」であることはほとんどの日本人が知っているが、都・道・府・県と異なる呼び名があるのはなぜだろう?
戦後1947年に施行された地方自治法で、47都道府県はいずれも「普通公共団体」と規定されており、基本的には同じ役割、同じ権能を持つ同格の存在だ。呼び名の違いには歴史的な背景が影響している。
都道府県誕生の歴史は明治時代にさかのぼる。1868年、明治政府は、江戸幕府から引き継いだ直轄領のうち、江戸(東京)、大阪、京都、箱館(=函館、北海道南部)、越後(新潟)、神奈川、長崎、甲斐(山梨)、度会(三重)、奈良を「府」と定めた。「府」には「行政・軍事の中心」の意味があり、政府にとっての重要度を示したものと考えられる。
翌1869年までに東京(政治の中心)、大阪(商都)、京都(御所がある場所)のみを「府」として残し、他の7府は「県」に改称。1871年の廃藩置県で全ての藩が政府直轄となり、300余りの県が誕生した。その後、統廃合が繰り返され、現在の47都道府県に近い区分けが出来上がったのは1888年頃。
【東京都】
1868年 | 江戸城開城、 江戸府設置 |
1868年 | 江戸府を「東京府」に改称 |
1889年 | 東京市(現在の23区に相当する)発足 |
1943年 | 防空や生活物資配給など戦争遂行のために強力な行政機構を確立する必要から内務省主導で、東京市と東京府を廃止し、「東京都」設置 |
1947年 | 地方自治法により、23区が「特別区」となる |
東京都が特殊なのは、新宿区、江東区、港区など23区が「特別区」として設置されている点だ。京都市中京区や川崎中原区のような政令指定都市の「区」は、それぞれ京都市、川崎市の一部署に過ぎない。これに対して、特別区は、実質的に「市」と同じ扱いで、区長や区議会議員を区民が直接選挙で選び、福祉や教育などそれぞれ独自の施策を打ち出す。
【北海道】
1869年 | 江戸幕府の支配が及んでいなかった旧・蝦夷地の開拓を目指し、省と同格の中央官庁として「北海道開拓使」設置 |
1882年 | 北海道開拓使を廃止し、函館県・札幌県・根室県の3県設置 |
1886年 | 3県を廃止し、北海道庁設置 |
1947年 | 地方自治法により、自治体としての「北海道」誕生(それまでは、地域名だった) |
【大阪府・京都府】
1868年 | 明治政府が「大阪府」「京都府」など10府設置 |
1869年 | 東京、大阪、京都のみが「府」となる |
1947年 | 地方自治法でも、大阪と京都のみ「府」の呼称が残された |
2019年4月7日投開票の大阪府知事選、大阪市長選で大きな争点となっている大阪「都構想」は、大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する内容。推進派は、大阪府と大阪市による二重行政の無駄を廃し、インフラ整備などを府、教育や福祉など住民に直結するサービスを特別区が担う役割分担を明確にするとしている。
東京都と大阪府の比較についてはこらち
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