美しさは格別! 訪れてみたい12の現存天守 : 国宝編
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明治維新後の廃城令によって、多くの城は軍用地になったり、民間に払い下げられて取り壊されたりした。残った数少ない城も太平洋戦争中の空襲で破壊されるなどして、江戸時代以前の姿を今に遺す「現存天守」は全国で12城しかない。そのうち国宝に指定されている5城を紹介する。
漆黒の要塞・松本城
「黒い城」として知られる松本城。壁の下部に取り付けた漆塗りの下見板が、城全体を黒く見せている。天守には明かり取りの窓が少ない一方で、鉄砲を打ったり、矢を放つための狭間(小窓)が数多くあり、戦国時代らしい守りを堅くした城。ちなみに、姫路城など優美さを競う白亜の天守が築造されるようになったのは、関ケ原の合戦以降と言われている。
■松本城のプロフィール
- 場所 : 長野県松本市丸の内4-1
- アクセス : JR松本駅から徒歩15分
- 現存天守完成時期 : 1593年頃
- 入城料 : 大人610円 / 小・中学生310円
- 松本城ウェブサイト https://www.matsumoto-castle.jp/
木曽川に守られた後堅固・犬山城(別名 白帝城)
1537年に織田信長の叔父にあたる織田信康が築城。中山道と木曽街道に通じる犬山は、交易・政治・経済の要衝として栄えた一方で、戦国時代には何度も激戦の舞台となった。木曽川河岸の小高い丘の上にあり、背後の川と絶壁に守られた「後堅固(うしろけんご)の城」として知られる。
■犬山城プロフィール
- 場所 : 愛知県犬山市犬山北古券65-2
- アクセス : 名鉄「犬山遊園駅」西口より徒歩約15分
- 現存天守完成時期 : 1617年頃
- 入場料 : 大人550円 / 小・中学生110円
- 犬山城ウェブサイト https://inuyama-castle.jp/
琵琶湖を臨む井伊家の居城・彦根城 (別名 金亀城)
歴代4人が徳川幕府の「大老」を務めた徳川家の重臣・井伊家の居城。徳川家康の命により1604年着工し、天守は大津城(現滋賀県大津市)から移築された。天守の規模は小さいが、「切妻破風(きりづまはふ)」「入母屋(いりもや)破風」「唐(から)破風」を多様に配し、外観に重きを置いた美しい姿。月明りに浮かぶ彦根城は「琵琶湖八景」に数えられる。
■彦根城プロフィール
- 場所 : 滋賀県彦根市金亀町1-1
- アクセス : JR彦根駅より徒歩15分
- 現存天守完成時期 : 1606年頃(諸説あり)
- 観覧料金 : 大人800円 / 小・中学生200円
- 彦根城ウェブサイト https://www.hikoneshi.com/jp/castle/
日本の宝から世界の宝となった姫路城 (別名 白鷺城)
白漆喰(しっくい)塗籠造りの真っ白な姿は、大きく翼を広げた白鷺に例えられ、「白鷺城」として親しまれてる。「美的完成度が我が国の木造建築の最高の位置にあり、世界的にも他に類のない優れたものである」「17世紀初頭の城郭建築の最盛期に、天守群を中心に、櫓、門、土塀等の建造物や石垣、堀などの土木建築物が良好に保存され、防御に工夫した日本独自の城郭の構造を最もよく示した城であること」などが評価され、1993年に日本で初めてのユネスコ世界文化遺産に登録された。
■姫路城プロフィール
- 場所 : 姫路市本町68番地
- アクセス : JR姫路駅より徒歩20分 姫路駅北口よりバスで「大手門前」下車徒歩5分
- 現存天守完成時期 : 1609年
- 入場料金 : 大人(18歳以上)1000円 / 小・中学生、高校生300円
- 姫路城ウェブサイト http://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/
安土桃山時代の建築様式を残す松江城(別名 千鳥城)
千鳥が羽を広げているようにも見える入母屋破風(正面から屋根の三角形に見える部分)や、壁の大部分が黒く塗った雨覆板(下見板張り)で覆われるなど、桃山時代の建築様式を保つ。天守の地階には籠城に備えた深さ24メートルの井戸がある。現存12天守のうち天守内に井戸があるのは松江城のみ。
■松江城プロフィール
- 場所 : 島根県松江市殿町1-5
- アクセス : JR松江駅よりバス10分、「大手前」下車
- 現存天守完成時期 : 1611年
- 登閣料 : 大人670円 / 小・中学生280円 / 外国人330円 / 外国人小・中学生140円
- 松江城ウェブサイト https://www.matsue-castle.jp/
「現存12天守 : 重要文化財編」はこちら。
バナー写真 : 「国宝犬山城」提供