総選挙2024

「それって、私たちのせい?」が政治参加の原点 : 社会派モデル藤井サチさんが考える投票に行く意味

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流行のファッションに身を包み雑誌の表紙を飾る一方で、社会課題や政治に対して積極的に発言する “社会派モデル” の藤井サチさん。元々は、「どうせ投票しても、何も変わらないでしょ」と冷めた若者の一人だったという。政治に興味を持つきっかけは、家族や友人など身近な人が幸せであってほしいという思いだった。

藤井 サチ FUJII Sachi

2019年上智大学卒業。『Seventeen』『ViVi』の専属モデルとして活動。SDGsなどの社会問題や政治・経済を学び、情報番組にコメンテーターとしても出演するなど活動の場を広げている。

「どうせ何も変わらないから、選挙に行く意味ない」って気持ち、本当によく分かります。私も そう思っていたうちの1人でした。

友人が結婚したり、子どもを生んだりして、「貯金する余裕がない」「子育てしていて、将来が不安」なんて話を聞くようになったんです。調べてみると社会保険料はどんどん上がっているし、実は30年間も賃金が横ばいだみたいなことを知ると、「それって、私たちのせい?まじめに働いていて貯金ができないのって政治のせいなのでは?」と、興味が湧いてきました。

実現してもらいたい政策は「教育費の無償化」ですね。お金持ちの家庭に生まれた子は塾に行ける、いい学校に行ける、そうすると就職も有利。生まれる家は選べないけれど、「みんながチャンスを得られる」社会であってほしい。知識は、誰にも取られない財産だし、人生の根本になる部分だと思うので、その点を国が保障するのは意味あるなって思います。

じゃあ、財源はどうするの?

衆院選では、どの党も少子化対策として教育費の負担軽減を挙げています。共通しているように見えるけれど、政策を実現するにはお金がかかることなので、私は「じゃあ財源はどうするの?」というふうに見ています。

結局は、国民の負担増を前提としている党もあるし、防衛予算を教育予算にシフトさせるとか、人づくりは将来の税収増につながるから教育国債を発行するなど、違いがあります。財源から、自分の考えに一番近いのはどこだろうと考えます。

でも、そこまで突き詰めて考えているのは「ちょっと、ヘン」とですよね。

若い人たちも、まずは第1歩目として「挑戦する」つまり「投票してみる」って大事だと思うんです。実は、私も、最後は直感で「この人」って選んだりします。それで、投票したけれど、結局公約果たされなかったなとか、当選後の言動が自分の考えとずいぶん違うなということもあります。でも、「失敗した!」思ったら、次の選挙ではもう少し、違う観点で誰に投票するのか考えればいいんです。

私たちに届く言葉で!

今年の夏の都知事選を見ていても、若者を意識した政策が並び、SNSで発信する候補者が増えてきて、雰囲気が変わってきたなって思います。

SNSの活用は本当に大事。動画を上手に作っている候補者やインスタライブなどで、分かりやい言葉で発信している人は「この人いいかも」って思いますよね。ポスターが貼ってあるだけでは人柄も分からないし、名前も覚えられないですから。具体的に、私たちに届く言葉で、何を実現しようとしているのか発信してもらいたい。YouTubeを見ているのは、 若者だけではないと思います。地方に住んでいる私の叔父もYouTube見てますよ。

政策ではないのですが、国民民主党の玉木雄一郎代表がショート動画で「実は住民票を移してしなくても、投票に行けますよ」と発信していたのは良かったです。大学生が選挙に行かないのは、実家に住民票を残したまま、地元から離れた大学に通っているというのが意外と多いんです。こういう発信が、若者の投票率アップにつながると思います。

男性議員だって本当に能力で選ばれているの?

選挙の候補者の一定割合を女性にする「クオータ制」導入を公約にしている党もあります。それに対して「逆差別」だという人もいますが、国民の半分は女性なのに、国を動かしてる9割が男性っていう今の状況がおかしいだけ。両方の意見を取り入れるっていうのは、民主主義に全然普通のことであるべきだと思うのです。

クオータ制に反対する人は、「(女性の)能力が…」みたいに言いますが、男性議員も本当にみんな能力で選ばれたのか、分からないですよね。組織票のお陰で当選している人もいるし…。女性の視点が入ることで、女性が考える政策があってこそ改善できることもあるのかなと思います。まずは、クオータ制導入してみるは「アリ」だと思います。

聞き手:nippon.com編集部・貝田尚重

バナー写真:藤井サチさん(ホリプロ提供)

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