3.11後の日本

創発的破壊が日本を復活させる

政治・外交 社会

今年3月に発生した東日本大震災は、日本に戦後最悪の被害をもたらした。被災地復興と共に、パラダイム・チェンジを迎えた日本。脱原発・脱炭素社会を目指し、新たな日本の創造が試される。

少子高齢化社会のモデルシティ

すでに深刻な状況が随所に現れているが、日本の少子高齢化の進行は厳しい。とくに、今回被災の大きかった東北地方ではこの波がいっそう激しく、今回の被災も高齢者を直撃している。しかし、深刻化する少子高齢化は日本に限ったことではない。世界の2005年から2010年の合計特殊出生率(生涯に一女性が産む子供の数)を見てみると、OECD加盟国では、韓国(1.22)に次いで日本とポーランド(ともに1.27)と低く、ドイツ(1.32)、イタリア(1.38)、カナダ(1.57)、オランダ(1.74)、イギリス(1.84)、フランス(1.89)などが、いずれも2人を切って並んでいる(図3)。2人を切るということは、このいずれの国も今後人口減少に見舞われるということである。2人を超えているのはニュージーランド(2.02)、アメリカ (2.09)、メキシコ(2.21)ぐらいである。 さらに、隣国中国も1.77人と人口減少国だが、1979年以来の一人っ子政策が厳しく適応された都市部ではまさに1.0が堅持され、少子高齢化の波が日本以上の速度で忍び寄っている。すなわち、いずれ先進国や人口大国中国が抱える深刻な少子高齢化問題に、日本が先駆けて突入していることが理解されるのである。


出典:平成22年度「出生に関する統計」の概況(厚生労働省)

今回の東北地方は日本でも高齢化が最も進行している地域であり、そこで高齢者対応型のエコタウン・スマートシティを高度な医療福祉制度と相まって建設することができれば、日本ばかりか世界のモデル事業になり得ることは間違いない。さらに、スマートシティが、職住学遊が接近しきわめて住みやすい街となれば、高齢者ばかりでなく多くの若者を引きつけるようになり出生率も上昇していくこととなるだろう。

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