【Photos】瀬戸内海の四季:島々の穏やかな光景
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シーボルトも絶賛した多島美
本州、四国、九州に挟まれ、その内海の多島美が絶賛される瀬戸内海。古くから海上交通の要衝として知られ、有人・無人合わせて727もの島々が点在している。
江戸時代にドイツからやってきたシーボルトは、その景観を次のように評した。
「船が向きを変えるたびに魅せられたように美しい島々の眺めが現れ、島や岩島の間に見え隠れする日本(本州)と四国の海岸の景色は驚くばかり‥」(『江戸参府紀行』より)
その時、シーボルトが見た光景が、今も変わらず私たちの前に存在している。
海とともに生きる人々に魅せられて
瀬戸内海に面した和歌山県の山間部で生まれ育った私にとって、瀬戸内海は身近にある憧れの海だった。18歳から続けていた東南アジア放浪の合間に、日本の島を旅しようと決めた時、まず訪れたのは故郷・和歌山の島だった。その後、学生時代から住み始めた京都から行きやすい瀬戸内海の島を次々に訪れ、島写真家としての撮影が始まった。そんな瀬戸内海の島々を旅する中で私を魅了したのは、そこで出会った自然と融合した暮らしぶりだ。海とともに生きる彼らの暮らし方に憧れ、その後、頻繁に瀬戸内海の島々を訪れるようになった。
楽しみな島人たちとの新たな出会い
何度も島を訪れるうちに、島の人々が四季を愛(め)で、信仰を持ち、先祖や住民のつながりを大切にしながら暮らしていることが分かってくる。島々の暮らしは、穏やかな瀬戸内海そのものだ。都会で慌ただしい日常を送る身としては、そこが理想郷のようにも思えてくる。
また、年に1度の祭りの日に見せる、普段とは違った島の表情は、派手な縁日や花火大会はなくてもエネルギーに満ちあふれていた。皆が自分の島の祭りに誇りを持っているのが感じられ、どの祭りも魅力的だった。そして私は、海に感謝をしながら日々の暮らしを紡ぐ、島人たちの生き方に魅せられていった。
定期航路のある有人島はほぼ全て訪れ、次は定期航路で行くことができない島へ足を運びたいと思い、船舶免許を取得した。瀬戸内海に生きる人々との新たな出会い、さらなる発見が楽しみだ。これから何十年、島々の暮らしでの変わっていくもの、変わらないものを撮り続けていきたい。
写真と文:黒岩 正和
バナー写真:瀬戸内の穏やかな海をゆっくりと進む伝馬船が、青い海と空によく映える(大崎上島、おおさきかみじま)