地酒造り:酒を醸し育む加賀の蔵元【動画】
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地酒王国・石川
うまい酒は、「良い水」「良い米」「良い麹(こうじ)」をもとに造られる。石川県には、この3拍子と職人の技がそろっている。それぞれの酒蔵では、杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)が温度管理に注意を払いながら、発酵を促す。冬の厳しい寒さの中、ゆっくりと発酵を進めることで、豊かな味わいを生み出していく。
酒造りは洗米から始まる。仕込みに使う水は「百年水」と言われ、霊峰・白山の麓に降った雨が地中に染み込み、酒造りに最適な成分がゆっくりと溶け込んだもの。洗米した後に蒸したら、麹室(こうじむろ)でカビの一種である麹菌を繁殖させた米麹を造る。米のデンプン質を糖分に分解するのが麹菌の役割だ。そして、その糖分を酵母がアルコールへと転換する。蔵人たちは麹の微妙な変化を、香りや味、手触りから感じとり、成長に合わせた手入れと微妙な温度管理を行っていく。
「酒母室(しゅぼしつ)」では、酒造りの主役である酵母を大量に育てる酒母造りを行う。これは次に行われる仕込みの段階で、大量の米を発酵させるための重要な工程になる。酵母にとって一番良い温度になるように、蔵人たちは蒸した米をきびきびと運んで仕込む。
発酵室では蒸米(むしまい)と麹、水、酵母が一つになるように、タンクの底を丸くして対流が起きやすくしている。自然に動くことで発酵のバランスが良くなり、おいしい酒が出来上がるのだ。
酒は人間の都合を優先するとおいしくならない。「微生物主義」で、酒造りの間は正月でも休日でも仕込みを休まず、作業時間も微生物たちに合わせている。蔵人は「赤ちゃんを育てる母親のような役割」なのだという。
福光屋(石川県金沢市)では、日本醸造協会から頒布される酵母とは別に、独自の酵母の研究も行っている。どの酵母が造りたい酒に適しているか、およそ300種類の中から選び、新商品の開発に取り組んでいる。
石川県の酒蔵は伝統を受け継ぎながら、個性と技を磨き続けている。
映像提供=金沢ケーブルテレビネット「なぜだか金澤~見つけて加賀・能登」
(バナー写真=うまい酒の3拍子がそろった石川県の地酒)