巨大コントローラーでマリオ! 任天堂の歴史体感できる「ニンテンドーミュージアム」 京都・宇治に10月2日登場
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明治からの任天堂を振り返る
ニンテンドーミュージアムは、任天堂創業の1889(明治22)年以降の歴史を、数々の商品展示と最新技術を使った体験型ゲームなどで振り返る施設だ。同社宇治小倉工場をリノベーションして整備した。
1階はヒット商品をデジタル技術と組み合わせたインタラクティブな体験ができるフロア。2階は展示フロアで、歴代のテレビゲームやおもちゃなどさまざまな製品がテーマごとに並んでいる。
2階はゲーム機ごとの展示
まずエスカレーターで2階へ。展示フロアに足を踏み入れると、1983年発売の家庭ゲーム機ファミコンから最新のNintendo Switchまで12種類のコントローラー模型が、9倍の大きさになって天井にディスプレーされているのが目に入る。
各模型の下は、それぞれのゲーム機を振り返るコーナーだ。任天堂が発売した全ソフトの日本版、北米版などが並ぶ。ゲームボーイやWiiなどそれぞれのゲーム機の特徴もわかりやすくディスプレーされている。
「挑戦の歴史」おもちゃがずらり
展示には「挑戦の時代」コーナーも。家庭用ゲーム機がヒットする以前からの任天堂の商品である、すごろくや多様なテーブルゲーム、電子機器を使ったおもちゃなどが並ぶ。そこからは、任天堂が常に人を楽しませる製品をつくろうとアイデアを練ってきたことが分かる。
「体を使って遊ぶゲーム」でまとめられたコーナーもある。バランスWiiボードとコントローラーを使いエクササイズとゲームを楽しめる「Wii Fit」は記憶に新しいが、それ以前にもゲーム機に接続して体を動かす製品が発売されていたことが陳列を通して示されている。さらにさかのぼって、ツイスターゲームなどアナログで体を使うおもちゃもエクササイズゲームの前段階で輸入販売していた。こうした流れも一目で理解できる。
デジタルでよみがえるゲーム、おもちゃ
1階の体験フロアは、過去の製品を今の時代の技術でよみがえらせると、どんな遊びになるか、というコンセプトで構成されている。入館証カードに登録された10コインを使い、遊びながら任天堂の商品開発の歴史に触れることができる。
すぐに目に入るのは、実物の12倍ある巨大コントローラーを使ったゲーム体験コーナー「ビッグコントローラー」。歴史的大ヒット商品であるファミコンや、90年のスーパーファミコン、96年のNINTENDO64、2006年のWiiといったゲーム機の巨大コントローラーを2人1組で操作して、当時のゲームを追体験する。
ファミコンなら、1人が十字ボタンを、もう1人がABボタンを担当し、声を掛け合って楽しむ。Bと十字キーでキャラクターの走る速さがアップする「Bダッシュ」も可能だ。Wiiのコントローラーでは全身を使ったバランスゲームが楽しめる。
「ニンテンドークラシック」のコーナーでは、80以上の懐かしのゲームソフトから自由にタイトルを選んで遊ぶことができる。
初の携帯用ゲーム機として80年に発売したゲーム&ウオッチを大画面で遊ぶコーナーもある。発売第1作の「ボール」と名作「マンホール」の2種類のゲームで、プレーヤーは自らの影を使って操作する。
ゲーム&ウオッチは計4000万個以上が売れたとされる。任天堂のゲームコントローラーの十字ボタンは「ドンキーコング」で初めて取り付けられ、操作性の良さから歴代引き継がれている。ミュージアムには全てのゲーム機の展示コーナーもある。
任天堂の原点感じるコーナーも
任天堂は明治時代に花札のメーカーとしてスタートした老舗だ。テレビゲームに注力するまでは、花札のほかトランプや百人一首かるた、工夫をこらしたおもちゃなどが主力だった。その原点を感じられる体験展示が「しぐれでんSP」。床の巨大画面に映し出された百人一首の札を、専用スマートフォンを使って取り合う。
「しぐれでん」のネーミングは、京都・嵐山にあった展示施設「百人一首殿堂・時雨殿」に由来する。任天堂が深く関わった施設が、ニンテンドーミュージアムでよみがえったといえる。
館内クラフトルームでは花札づくりの体験も予約制で実施。特製キットから好きな絵柄を選んで色を塗り、花札を完成させる。さらに、デジタル技術を使って、外国人旅行者や初心者でも花札が楽しめる対戦コーナーもある。
アナログおもちゃを楽しく追体験
過去のおもちゃの体験コーナーもある。手元を操作することで先端が伸び縮みし、目標物をつかむ「ウルトラハンド」は、1966年のヒット商品。ミュージアムでは、ウルトラハンドを使ってボールをつかんで土管に落とすゲームが楽しめる。
アイデアを凝らした挑戦的なおもちゃとして知られるのが1969年の「ラブテスター」。人の体を流れる微弱な電流を感知する計器を使い、手をつないだ男女の恋愛度を測る。男女が公の場で手をつなぐこともはばかられた当時の日本で、話題になった。
館内の「ラブテスターSP」では、2人で画面の指示に従って「ラブ度」を上げるためにさまざまなテストに挑戦できる。
童心に返りストレス解消!
そのほか、電動でピンポン玉を射出するミニバッティングマシン「ウルトラマシン」(68年)を、部屋を模したセットで楽しむバッティングコーナー「ウルトラマシンSP」、ファミコンやスーパーファミコンの周辺機器だった光線銃で、マリオシリーズに登場する敵を撃つシューティングゲーム「ザッパー&スコープSP」なども用意されている。「ザッパー&スコープSP」は70年代に任天堂が展開していた「レーザークレー射撃場」をモチーフにしているという。
編集部スタッフも、ゲームを体験。ウルトラマシンSPでフルスイングすると、ボールが部屋中に当たり、家具が「ガッチャーン」と落ちたり、家電が光ったりする。童心に返って遊んで、ストレス解消できるかも。ザッパー&スコープSPで、大画面のキャラに向かって光線銃も打ちまくれば爽快そのものだ。
27万通りのバーガー
館内には飲食ができるカフェ「HATENA BURGER」がある。名物ハンバーガーは、スマホを使って肉や具材を組み合わせ、自分だけのオリジナルを注文できる。組み合わせは27万通り以上とされ、「ラクト・オボ・ベジタリアン対応(卵・乳製品を含む)用のメニューをつくったり、自分の体調に合わせた食材選びも可能だ。
帰宅前にはミュージアムショップ「ボーナスステージ」へ。任天堂の歴史を感じられるゲームやキャラクターをテーマにしたグッズなどが盛りだくさんだ。中でも話題になりそうなのが、ファミリーコンピュータ、NINTENDO 64、Wiiなどのコントローラーを模した大型のクッション。歴代の任天堂ハードをモチーフにしたマグカップやTシャツ、ピンバッジなどもたくさんある。
遊びと独創を大切に
「ニンテンドーミュージアム」を紹介する公式YouTube動画で、宮本茂代表取締役フェローは「任天堂は創業から100年を超える歴史の中で、さまざまな娯楽を作ってきました。時代によってつくり出した製品は異なりますが、家族みんなで楽しんでいただきたいという思いは、今も昔も変わりません。ニンテンドーミュージアムは、そんな任天堂が大切にしてきた遊びと、独創を大切にする物作りへのこだわりを知っていただける場所です」と語っている。
任天堂は近年、ゲーム機やゲームソフトの制作に加え、人気キャラクターや世界観を生かしたテーマパークや映画などの体験型コンテンツ事業にも力を入れている。任天堂の新しい原点が「ニンテンドーミュージアム」なのかもしれない。
ニンテンドーミュージアム
- 住所:京都府宇治市小倉町神楽田56番地
- 開館時間:午前10時〜午後6時(入館は午後4時30分まで)
- 休館日:火曜日(祝日の場合は水曜日)、年末年始
- 入館料:大人3300円、中高生2200円、小学生1100円、未就学児無料
- チケット 事前予約(3か月前抽選制)
※コスプレなど仮装では入場はできない
※写真は、任天堂提供を除きニッポンドットコム編集部の藤原智幸、松本創一撮影。
バナー写真:任天堂の家庭用ゲーム機を家族や友人と一緒に楽しむ「ビッグコントローラー」。ニンテンドーミュージアムにはさまざまなゲーム体験が用意されている