コテコテの大阪を満喫:映えスポット目白押しの「とんぼりリバークルーズ」がインバウンドに人気
Guideto Japan
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グルメと写真映えが外国人を魅了する街
西日本最大の都市・大阪は江戸時代、縦横に張り巡らされた運河に乗って全国の食材が流通する「天下の台所」として発展した。商都の大動脈だった運河は次々と埋め立てられたが、16世紀後半に開削された東横堀川と、1615年完成の道頓堀川が今に残る。大阪市の中心部を北から南へ約3キロを貫く東横堀川は、その下流で西に曲がり、道頓堀川と名を変えて約2.7キロを横断する。
道頓堀川の上流南側に広がる道頓堀エリアは国内屈指の繁華街。訪日客が過去最高の年間1400万人ペースの大阪府でホットスポットになっている。
観光の目玉は安くてうまいB級グルメ。道頓堀でたこ焼きをパクっと食べている写真をSNSにアップするのが大阪観光の証だ。食べ物のキャラクターの立体看板もインパクト抜群で、映え写真スポットとして人気。
大阪のランドマーク「グリコサイン」をバックに撮影できる戎橋(えびすばし)は、界隈で一番のフォトスポット。かつてはナンパの名所「ひっかけ橋」として知られたが、今や昼夜を問わず観光客で埋め尽くされる。
気さくな大阪弁ガイド付きクルーズ
戎橋のたもとから川岸に下りると遊歩道「とんぼりリバーウォーク」が延びる。沿道でひと際目を引くのが「ドン・キホーテ道頓堀店」の観覧車。その下には船着き場があり、遊覧船「とんぼりリバークルーズ」が30分間隔で発着する。
水上から繁華街を眺める約20分のミニクルーズは、定期便が軒並み満席となって増便するほどの盛況ぶり。お得な「大阪周遊パス」で乗れるとあって、乗客の大半は外国人観光客が占め、韓国・台湾・香港・米国の順に多いという。
船上ではガイドが関西弁で盛り上げてくれる。「あちらの看板に書かれた“おおきに”は、大阪スタイルのサンキュー、カムサハムニダ、シエシエ。覚えていっぱい使うてね」と、ノリがいい。「道頓堀に生息する大阪人、“ネイティブ・オオサカーン”はめっちゃフレンドリー!」とのアナウンス通り、行く先々では通行人が手を振り、川沿いの店からは「後で寄ってなぁ」と声が掛かる。
コース上の9つの橋についても案内。「戎橋が円形なのはお好み焼きをイメージしているから。欄干と階段は、お好み焼き作りで使うコテをずらっと並べたデザイン」というのは、大阪人もあまり知らない豆知識だ。
ナイトクルーズは特に人気が高い。真っ暗な橋を抜けて、きらびやかなネオンサインが広がる瞬間は息をのむ。
船旅を終えると誰もが笑顔。韓国からの乗客は「友だちに自慢できる写真が撮れた」とご満悦だった。
行き交う船は「水の都」復興の象徴
今では水辺で観光客が憩う道頓堀川だが、高度成長期から生活排水や工場排水が注ぎ込み、今世紀初頭までは魚が住めないほど水質が悪かった。阪神タイガースが優勝すると熱狂したファンが飛び込む光景は全国的に有名だが、地元の反応は「あんなドブ川によう入るなぁ」というものだった。
そうした中、大阪市は「水の都」再生構想の一環として道頓堀川の浄化に乗り出した。2000年には上下流に水門を整備、干満に合わせて開閉することで大川(旧淀川)のきれいな水を引き込んだ。また下水の流入対策も進めて、着実に水質が改善。今ではアユが生息し、絶滅危惧種のニホンウナギまで見つかっている。
遊覧船が就航できるのも、水門で水位を調整しているから。05年に登場したとんぼりリバークルーズは親水空間の目玉レジャーであると同時に、道頓堀川復活のシンボルといえる。「天下の台所」の遺産である運河を行き交う船と、おいしい食べ物を楽しもう!
詳細はとんぼりリバークルーズ公式サイトを参照
取材・文・撮影(クレジットのない写真)=ニッポンドットコム編集部
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