誰でも力士と「ハッケヨイ!」:本格相撲ショーホールが大阪・難波に誕生
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技やルールの解説から真剣勝負まで
日本の国技を鑑賞できる「THE SUMO HALL 日楽座 OSAKA」が5月30日、複合商業施設なんばパークス(大阪市浪速区)に開業した。インバウンドに受ける演出やサービスを売りにしており、すでに約30カ国から予約が入っている。大阪・関西万博を見据え、年間980万人の訪日客でにぎわう大阪の新名所を目指し、2024年度は5万人の来場を見込む。
厳格な角界でのし上がる破天荒な元不良を主人公にしたNetflixドラマ「サンクチュアリ -聖域-」のヒットも影響してか、外国人の相撲ファンは増加中。とはいえ、大相撲は年間90日、東京3場所と大阪・名古屋・博多の各1場所のみで、訪日客が観戦するにはハードルが高い。その点、日楽座は名前の通り「ほぼ毎“日”相撲を“楽”しめる」。そして女性が土俵に上がれるのも、大相撲にはない魅力だ。
大相撲出身の元プロが土俵の上で、約60分間にわたって圧巻のショーを繰り広げる。観客との対戦やふれあいの時間もあるので、“体験型”を好む外国人が満足しそうだ。
プレオープンの日には、カナダ出身の上方落語家・桂福龍さんが進行役を務めた。巧みな話術で笑いを取りながら、日本語と英語を混ぜ合わせて、相撲の基本を初心者にも分かりやすく解説。
「四股」等の所作や「上手投げ」等の決まり手の実演は、修練を重ねた本物の力士だけに迫力満点だ。禁じ手の紹介では一転してコミカルな演技。大相撲では「初切(しょっきり)」と呼ばれておなじみの演目だが、ナレーションや照明がパフォーマンスを引き立て観客は大いに沸く。
会場があたたまったところで、行司が入って本取組がスタート。もちろん真剣勝負で、立ち合いの作法も大相撲とまったく変わらない。土俵際に追い込まれた側が身をひるがえして逆転するなど、熱戦に息をのむ。
最後は観客が相撲スーツを着用して土俵に上がり、希望する相手と模擬対戦。どんなに押してもびくともせず、軽々と抱えられて、力士の強さを体感できる。転がされて土を付けられるのも貴重な体験だ。
神事に由来する相撲文化を世界へ
パフォーマンスの企画立案に携わったのが、元プロ力士の田代良徳さん。角界引退後に“力士俳優”としてハリウッド映画などで活躍する一方、10年前から外国人向けの相撲ショーを毎日のように続けてきた。
ステージを重ねる中で、外国人が相撲の文化背景に強い関心を持っていることに気付いたそうだ。例えば「なぜ対戦前に四股を踏み、塩をまくのか」と不思議がり、それが土俵を清めるためであり、相撲が神事から発祥した名残だと説明すると驚かれた。
力士はまげを結って和装を常とし、土俵は女人禁制とするなどの伝統が守られているのも、他のスポーツ興行とは一線を画する国技ゆえ。「相撲は単なる太った男の格闘技ではなく、日本文化の根本に通じるもの」だと知ってもらうための演目として、相撲の基礎の解説や、神話に始まる相撲の歴史をイメージした演舞を提案した。
訪日客の「ナイトタイムのレジャーを」との要望に応え、開演時間は夕刻から。相撲観戦の供である弁当と酒を含む1ドリンクが付き、日本文化を舌でも楽しめる。弁当の種類は、たこ焼きをはじめ名物が詰まった日楽座特製の幕の内などが選べ、追加料金を払えば、日本料理の老舗「なだ万」の2段重、くるま麩(ふ)や豆腐を使ったヴィーガン弁当、日本ハラール協会の基準をクリアした和風弁当に変更できる。
相撲文化の海外発信拠点となるか、日楽座は「ハッケヨイ(発気揚々)」のスタートを切った。
THE SUMO HALL 日楽座 OSAKA
- 住所:大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークス 8階
- 営業時間:午後6時~・午後9時~の2回公演、1日1公演の日は午後7時~(それぞれ1時間前に開場) ショップは午前11時~午後11時
- 定休日:火曜日、12月31日、1月1日
- 料金:S席16000円、A席12500円、B席9500円ほか ※弁当・ドリンク付き
- アクセス:南海・大阪メトロ「なんば」駅から徒歩3分、阪神・近鉄「大阪難波」駅から徒歩5分
詳細・予約は日楽座 公式ホームページにて(外部サイト)
取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部