日本一長い木造三連太鼓橋「鶴の舞橋」:“津軽の逆さ富士”で話題を呼んだ青森の新名所

津軽富士見湖に架かる「鶴の舞橋」(青森県鶴田町)は、全長300メートルもある木造の三連太鼓橋。2016年にJR東日本のCMに登場すると、岩木山と織りなす絶景が話題を呼び、津軽地方の人気観光スポットとなった。

飛翔する鶴のような美しいフォルム

約100メートルの太鼓橋が3つ連なる「鶴の舞橋」。連結部分に当たる2つの踊り場をそれぞれ鶴の頭に見立てて、つがいの鶴が翼を重ねるように飛翔する姿を表現している。

西側の堤防から見た鶴の舞橋。左側の休憩所(大ステージ)が雄の鶴、右側(小ステージ)が雌で、翼を重ねて飛んでいる
西側の堤防から見た鶴の舞橋。左側の大きい休憩所が雄の鶴、右側が雌で、翼を重ねて飛んでいる

南側の休憩所・小ステージ。屋根の下でゆっくりと眺望を楽しめる
南側の休憩所・小ステージ。屋根の下でゆっくりと眺望を楽しめる

優雅なアーチに、青森特産のヒバ材が温もりを加えている。橋脚の直径は30センチで、丸太を3000本、板材を3000枚使用。さらに橋の全長300メートル、幅3メートルと“3”尽くし。三連の太鼓橋にあわせて縁起を担いだようで、パワースポットとしても人気上昇中だ。

木造の三連太鼓橋としては日本一の長さを誇り、対岸に渡るには約5分。「長生き(長い木)の橋」の語呂合わせで、「渡ると長寿になる」と遠方から訪れる人もいるらしい。

橋のたもとにも、木材がふんだんに使われている。仲良く飛ぶつがいの鶴をイメージしているため、縁結びや夫婦円満を期待する来訪者も
橋のたもとにも、木材をふんだんに使用する。つがいの鶴が仲良く飛ぶ姿をイメージしているため、縁結びや夫婦円満を期待する来訪者もいる

休憩所から眺めると、橋の構造がよく分かる
休憩所から眺めると、日本伝統の建造技術を生かした橋の構造がよく分かる

JRのCMで人気観光スポットに

津軽平野に裾野を広げる青森県最高峰の岩木山(標高1625メートル)は、地元では津軽富士として親しまれている。鶴の舞橋が架かる津軽富士見湖は、弘前藩4代藩主・津軽信政が1660(万治3)年、新田開発のために堤防を築き、用水池としたのが始まりとされる。

1994(平成6)年に完成した鶴の舞橋を一躍有名にしたのが、2016年に放送されたJR東日本・大人の休日倶楽部のCM。鶴の舞橋をゆったりと渡る名女優・吉永小百合が、ふと足を止めて鏡のように静かな湖面に視線を向けると、そこには津軽の逆さ富士が美しく映し出されている――。あまり知られていなかった橋に、全国から観光客が押し寄せるようになった。

北岸から見ると、背後に岩木山が望める。残念ながら撮影日には風があり、山頂にも雲がかかっていた
北岸から見ると、背後に岩木山がそびえる。残念ながら撮影日には風があり、山頂にも雲がかかっていた

北岸の橋のたもと
北岸の橋のたもとから、岩木山を望む

北側の休憩所・大ステージからの眺め
津軽富士見湖の正式名は廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)。その歴史や伝説についての案内板がある北側の休憩所(大ステージ)からの眺め

鶴の舞橋に行くには、富士見湖パークの駐車場から歩くのが定番。第一駐車場には鶴田町の名産品や土産物がそろう観光施設「ここにもあるじゃ」が隣接し、対岸には丹頂鶴自然公園もあるので、周辺観光もゆっくりと楽しもう。

富士見湖パーク第一駐車場近くから見た鶴の舞橋
富士見湖パーク第一駐車場近くから見た鶴の舞橋

三連太鼓橋をイメージした「鶴の舞橋カレー」は、ここにもあるじゃ内のカフェ「モンキー」の人気メニュー
三連太鼓橋をイメージした「鶴の舞橋カレー」は、ここにもあるじゃ内のカフェ「モンキー」の人気メニュー

鶴の舞橋

  • 住所:青森県北津軽郡鶴田町廻堰字大沢
  • 料金:無料
  • アクセス:JR五能線「陸奥鶴田」駅から車で約15分 

取材・文・写真=ニッポンドットコム編集部

青森 東北 津軽 絶景 観光地 岩木山