竜のようにうねる千本鳥居が織りなす絶景:青森県つがる市「高山稲荷神社」
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龍神宮にあやかった千本鳥居
千本鳥居といえば、訪日観光客に人気の京都・伏見稲荷大社が有名だが、近年は青森県つがる市の「高山稲荷神社」居も注目を集めている。日本庭園の池の間を縫うように朱色の鳥居が立ち並ぶ光景は、まるで竜のようだと評判なのだ。
高山稲荷神社は、鎌倉から室町時代にかけて津軽地方を治めた豪族・安藤氏が創建したと伝わる。五穀豊穣(ほうじょう)や海上安全、商売繁盛の神様として、地元で崇敬を集めていたが、日本海に面する七里長浜近くの高台にあり、JR「五所川原」駅から車で約30分もかかるとあって、以前は観光客が訪れることも少なかったという。
北海道新幹線の新青森駅-新函館北斗駅間が開通した2016年、青森県側の名所としてJRのポスターに掲載されたことで千本鳥居が話題を呼び、参詣者が急増。撮影された写真が、SNSを通じて海外へも広まっている。
実は千本鳥居の歴史は、わずか40年ほど。地元農家が幾本かの鳥居を奉納したのがきっかけで、「ぜひ自分も奉納したい」という人が次々と現れたらしい。ただ、池が配置された神苑(しんえん)の造作もあり、まっすぐに並べていくことは難しかった。そこで、「龍神宮」が祭られているだから「いっそのこと竜のように蛇行させよう」と、美しい曲線を描く千本鳥居が誕生したのだ。
狐も無数に並ぶ境内は、見どころ満載
千本鳥居といっても、あくまでも“千本”は“あまた”の意。伏見稲荷大社は約800基といわれ、高山稲荷神社では現在202基が並ぶ。木造の鳥居は傷みが激しいため、現在は改修工事が進められており、2022年秋の完了時には230基近くになる見通しだ。
終着点の高台には展望所が設置してあり、見下ろすと池のほとりを竜が蛇行しながら昇ってくるように見える。近くには神明社があり、その傍らには稲荷神の使い狐(きつね)の石像が無数に並び、こちらも千本鳥居と共に人気を呼んでいる。
現在は千本鳥居に注目が集まるが、高台に建つ拝殿、その前後に立ち並ぶ末社にも神聖な雰囲気が漂う。三王神社前に立つ珍しい山王鳥居、縁結びや夫婦円満の御利益がある命婦社など見どころが多いので、じっくりと境内を散策してみてほしい。
取材・文・写真=ニッポンドットコム編集部