海の中へ潜るように巡る大阪「海遊館」:巨大ジンベエザメ、まん丸なワモンアザラシが人気

巨大水槽で環太平洋の海を再現した「海遊館」は、大阪を代表する人気観光施設。名物のジンベエザメに加え、最近はキュートなワモンアザラシやクラゲの展示が話題を呼んでいる。コロナ流行前の年間来館者数は250万人超と、開業から30年以上たっても衰えない魅力を紹介する。

大阪ベイエリアの人気スポットとして、ユニバーサルスタジオジャパンと双璧を成す「海遊館」(大阪市港区)。「天保山ハーバービレッジ」の中心施設で、ジンベエザメが遊泳する巨大水槽で知られる水族館だ。

大阪メトロ中央線「大阪港」駅から5分ほど歩くと、ハーバービレッジの最も海側に、翼を広げたような青と赤の建物が見えてくる。海遊館のコンセプトは「リング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)」と「リング・オブ・ライフ(環太平洋生命帯)」で、青は海、中央の赤は自然豊かな大地を生んだ火山をイメージしたという。館内の水槽でも、環太平洋地域に生息する海の生き物を中心に飼育・展示している。

天保山マーケットプレース前の広場から海遊館を望む。取材時には30周年記念の装飾が施されていた。右のオレンジの建物が、チケット売り場やオフィシャルショップがあるエントランスビル
天保山マーケットプレース前の広場から海遊館を望む。取材時には30周年記念の装飾が施されていた。右のオレンジの建物が、チケット売り場やオフィシャルショップのあるエントランスビル

1990年の開館以来、個性的な意匠は大阪ベイエリアのランドマークとなっている。こちらは通常時の建物外観 写真提供:海遊館
1990年の開館以来、個性的な意匠は大阪ベイエリアのランドマークとなっている。こちらは通常時の建物外観 写真提供:海遊館

入館ゲートの階段上にある原寸大のジンベエザメ模型は、人気のフォトスポット
入館ゲートの階段上にある原寸大のジンベエザメ模型は、人気のフォトスポット

スロープを下りながら、海中散歩気分で鑑賞

大規模な建物のため、館内を巡るのは一苦労に思えるが、見学ルートはとてもスムーズかつユニーク。エントランスビルから入館すると、3階から8階までエスカレーターで一気に昇り、中央の巨大水槽の周囲に設置された、らせん状のスロープを下りながら、左右の水槽を眺めていく。

8階はコツメカワウソがいる「日本の森」水槽で、自然光が降り注ぐ。そこから薄暗いスロープに入ると、進行方向左側(スロープの外側)の水槽には、北太平洋の「アリューシャン列島」やカリフォルニア州の「モンタレー湾」、「南極大陸」など、地域ごとの魚類や鳥類が飼育されている。

7階の水槽は海面付近を再現したエリアで、陸地で遊ぶアシカや水に飛び込むペンギンを見ることができる。各地域の水槽を楽しみながら、少しずつスロープを下って一周すると、6階では水中を自由に泳ぎ回るアザラシやペンギンが再び現れる。徐々に海の深い方へと潜っていく気分で観賞する仕組みなのだ。

館内に展示してあった建物の構造模型。青い光が導線で、右端のエスカレーターを上ってから、らせん状のスロープを下る見学ルートがよく分かる
特別展で展示していた海遊館の構造模型。青い光が導線で、右端のエスカレーターを昇ってから、らせん状のスロープを下っていく順路がよく分かる

8階の日本の森エリア。森林が吸収した雨水が、川を通って海に流れ込むイメージを持ちながら、水槽が並ぶスロープへと下りていこう
8階の日本の森。森林が吸収した雨水が、川となって海へと流れ込むイメージを持ちながら、水槽が並ぶスロープへと向かう

南極大陸エリアのペンギンたち。スロープの角度にあわせて、水槽の水が徐々に深くなっていく
ペンギンがいる南極大陸水槽。下のフロアまでつながっており、スロープの傾斜にあわせてガラス面の水が徐々に深くなっていく

左)7階部分では海面で遊んでいたモンタレー湾のカリフォルニアアシカ 右)6階部分では優雅に水中を泳ぎ回っていた
海面では無邪気に遊んでいたカリフォルニアアシカが、順路を1周すると縦横無尽に水中を泳いでいた

目玉はやっぱりジンベエザメ、ワモンアザラシも人気

世界最大の魚類・ジンベエザメが遊泳する中央の「太平洋」水槽は、直線で最大34メートル、水深は9メートルもある巨大なもの。体長12メートルを超えることもあるというジンベエザメが優雅に泳ぐ姿を、フロアごとに違った角度から眺めることができる。立ち泳ぎになって、水面の餌を丸のみする1日2回の「お食事タイム」も必見だ。

一緒に泳ぐアカシュモクザメやイトマキエイ、ロウニンアジなども、それぞれに個性があって魅力的。魚種によって、群れになって泳いだり、海底でじっとしていたりするので、同じ水深にいる目線でじっくりと観察しよう。

海面にまかれた餌を、周りの水ごと飲み込むジンベエザメの姿は大迫力
ジンベエザメが大きな口を目いっぱい広げる迫力の食事シーン

太平洋水槽は4~6階で見ることができる。この写真は5階部分
太平洋水槽は4~6階で見ることができる。この写真は5階部分

海底近くを泳ぐジンベエザメを見上げる。他の魚も個性的で、眺めていると時間を忘れてしまう
海底近くを泳ぐジンベエザメを見上げる。他の魚も個性的で、眺めていると時間を忘れてしまう

最近人気が高いのが、3階の「海月(クラゲ)銀河」と新体験エリアのワモンアザラシ。海月銀河は漆黒の空間で、天井にある約700個の電球がかすかに明滅し、クラゲが浮遊する水槽だけが明るく照らされる。まるで宇宙を漂うような幻想的な光景に、足を止めて見入る来館者も多い。

ワモンアザラシは、北極圏などに生息する最も小型のアザラシ。海遊館のユキとアラレは、コロンとした丸いフォルムがかわいいと大人気。3階天井に設置してあるドーム型の窓から時折顔をのぞかせ、人間を熱心に観察している。

まるで宇宙空間にクラゲが浮かんでいるような海月銀河
まるで宇宙空間にクラゲが浮かんでいるような海月銀河

3階天井のドーム状の窓から見学客の様子をのぞき込むワモンアザラシ
ドーム型の窓から、来館者の様子を見下ろすワモンアザラシ

4階の海面エリアでお昼寝タイム
4階にある海面エリアでお昼寝タイム。寝顔もキュートと評判

海遊館特製グッズがそろうオフィシャルショップでは、ワモンアザラシとジンベエザメのぬいぐるみが売れ筋。軽食やドリンクが楽しめるカフェでも、ジンベエザメをモチーフにしたソフトクリームやメロンパンが好評だという。

隣接する天保山マーケットプレース内の「なにわ食いしんぼ横丁」には、お好み焼きの「ぼてぢゅう」や元祖たこ焼きの「会津屋」、ソースをかける混ぜカレーが名物の「自由軒」など、大阪グルメの名店が勢ぞろい。ハーバービレッジには他にも、大観覧車や遊覧船、レゴランド・ディスカバリー・センター大阪と魅力が詰まっている。

海遊館オリジナルグッズのみを販売するエントランスビル3階のオフィシャルショップ
ぬいぐるみや文具など、オリジナルグッズのみを販売するエントランスビル3階のオフィシャルショップ

天保山マーケットプレースと大観覧車。レゴランドも併設している
天保山マーケットプレース内には、レゴランド・ディスカバリー・センター大阪も入居する

なにわ食いしんぼう横丁はレトロな雰囲気で、訪日観光客に人気が高い
なにわ食いしんぼ横丁はレトロな雰囲気で、訪日観光客に人気が高い

海遊館

  • 住所:大阪市港区海岸通1-1-10
  • 入館料:大人(高校生・16歳以上)2400円、小中学生1200円、幼児(3歳以上)600円、65歳以上2200円(※要証明書)
  • 休館日・営業時間: 公式ホームページにて確認
  • アクセス:大阪メトロ中央線「大阪港」駅より徒歩5分

取材・文・写真=ニッポンドットコム編集部

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