【漁港巡り】マグロの町「三崎港」:日帰り観光で人気、お得な切符も
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神奈川県三浦市にある三崎漁港は、水産業の振興において最も重要とされる「特定第3種漁港」の指定を受けた13港の一つで、日本有数のマグロ基地として知られる。
東京・品川から京浜急行で1時間半の「三崎口」駅から、バスで15分ほど揺られると「三崎港」停留所に着く。漁港付近にはマグロ料理が食べられる料理店が軒を連ね、三浦半島最南端の景勝地・城ケ島や油壺マリンパークも近く、観光客でにぎわう。
豊洲をしのぐ量の冷凍マグロがズラリ
三崎港に隣接する「三浦市三崎水産物地方卸売市場」は、市民からは「みさき魚市場」と呼ばれて親しまれている。2018年春に完成した日本初の冷凍マグロ専用卸売市場では、ピカピカの床に多い日で900本と、東京・豊洲市場(江東区)顔負けの冷凍マグロが並ぶ。
マグロ取引は午前8時からスタート。取材したのは上場量が少ない土曜日とあって、メバチマグロが190本、インドマグロ10本で、「台湾船」と書かれたものが目立った。仲買人が切断されたマグロの尾などを入念にチェックし、身質の良しあしを判断していた。
豊洲市場のような競りではなく、バイヤー見定めたマグロの希望価格(キロ単価)を紙に書いて箱に入れる「入札」方式。落札結果は、卸売場の壁に設置された電光掲示板に表示される。相場は主力のメバチが1キロ当たり500~
従来は一般客の市場見学が可能だったが、新型コロナウイルス流行の影響で、2020年9月4日現在は休止となっている。平常時は2階の見学通路からガラス越しにマグロ取引の様子を眺めることができ、事前に申し込めばボランティアから市場の説明などが受けられるという。
満足間違いなしの「魚市場食堂」
市場2階には、マグロや地元の新鮮な魚介が味わえる「魚市場食堂」がある。6時オープンで、刺し身や焼き魚、フライなど豊富なメニューを用意するこの店には、市場で働く人のほか一般客も多く訪れている。中には「三浦半島ツーリングの途中で立ち寄る団体客もいる」(市場関係者)のだとか。
日替わりの朝定食は焼き魚か刺し身が選べる。この日はサバ塩焼き、マグロぶつが用意され、ご飯にみそ汁、納豆、小鉢、漬物付きで610円(税抜き)と手軽な値段だが、早く行かないと売り切れることもあるようだ。お薦めの「マグロ丼」(税抜き1400円)は、もちろん三崎港に揚がったものを使用。熟成だれに漬けたうまみたっぷりの赤身が丼を埋め尽くし、食べ応えも満点。
店の1番人気は「市場の日替わり刺し身&焼き魚定食」(税抜き1500円)で、マグロやメジナ、サザエ、エビの刺し身に、マグロのカマの塩焼きが付いてきた。2番人気の「市場の地魚フライ&刺し身定食」は、アジ、スズキ、イカ、エボのフライと、マグロぶつがセットになっており、仲間同士ならシェアしながら食べるのも楽しそうだ。
三崎港の観光拠点「うらり」で名産品を物色
市場の東に並行する埠頭(ふとう)には、三浦市民ホールや「みうら・みさき海の駅」が入る三崎フィッシャリーナ・ウォーフ「うらり」がある。バス停から徒歩すぐで、水中観光船「にじいろさかな号」や「三崎・城ヶ島渡船」の乗船場、「みうらレンタサイクル」のポート(乗降場)も併設している。
海の駅「うらりマルシェ」は、三崎のマグロや三浦の野菜をメインにした産直品売り場。1階の「さかな館」にはマグロや地魚をはじめ、水産加工品、総菜、土産物などを扱う合計12店が入り、観光客だけでなく地元の料理人が仕入れに来ることもある。
マグロは本マグロやメバチ、キハダなど、ブロックや「さく取り」に加え、地魚との刺し身盛り合わせなど種類も豊富。カマやホホ肉といった希少な部位、ネギトロ、漬けマグロといった加工品も店頭に並ぶ。マグロで作ったさつま揚げやコロッケ、串カツなどの総菜も充実。それぞれを薦める店員さんの声が食欲をそそり、ついつい買い過ぎてしまいそうだ。
2階の「やさい館」には、三浦市内の新鮮な野菜に加えて、姉妹都市の長野県須坂市の特産品コーナーも設置されている。カフェや休憩スペースもあり、ひと休みしながら軽食が楽しめる。
お得な切符で心も体も満たされよう
三崎の旅を電車で満喫するなら、京急電鉄が発売する企画乗車券「みさきまぐろきっぷ」がお得。京急線とバスの往復乗車券に、「まぐろまんぷく券」と「三崎・三浦おもひで券」が付いて、品川駅からだと3570円だ(料金は乗車駅による)。まぐろまんぷく券用には、魚市場食堂を含む全30の加盟店が特別メニューを準備しているので、自分好みのマグロ料理を探して味わおう。
三崎・三浦おもひで券は名産品との交換のほか、にじいろさかな号や三崎・城ケ崎渡船、みうらレンタサイクル、油壺温泉などで利用できる。昭和情緒あふれる三崎の町や海と畑が織りなす風景の中を自転車で巡ったり、城ケ島の絶景を堪能したりと三浦半島を存分に味わってほしい。
写真:筆者提供以外はニッポンドットコム編集部