キャンドルが照らす小樽運河の冬景色:北海道「小樽雪あかりの路」
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小樽の夜を彩るボランティアが設置した12万の灯火
小樽の風情ある町並みを、約12万本のろうそくが彩る「小樽雪あかりの路」。1999年に市民有志によって始められたイベントで、第21回となる2019年は2月8~17日に開催された。例年2月に10日間開催され、約50万人の見物客が訪れる。国内外から集まった2000人以上のボランティアが参加し、小樽運河、旧国鉄手宮線、朝里川温泉などの会場にキャンドルや氷のオブジェを並べるという。
小樽は北海道西部の石狩湾に面し、明治以降に石狩炭田の積み出し港や札幌の外港として栄えた町。港に着いた物資を倉庫へ荷揚げするための水路が、今では町のシンボルといえる小樽運河だ。大正時代に海を埋め立てて造られたという。
第2次世界大戦後は石炭需要が減少した上に、盛んだったニシン漁が下火になるなど、小樽の港湾関係事業は縮小した。港の埠頭岸壁も整備されたことで小樽運河は役割を終え、昭和40年代には交通渋滞緩和を目的に、全てを埋め立てて道路とし、倉庫群も解体する計画が持ち上がった。しかし、市民による反対運動が起こり、十数年に及んだ論争の末、運河の半分だけを道路にして倉庫群は保存されることとなった。運河沿いには散策路や街園、ガス灯63基が設置され、レストランが入るなど倉庫の再活用も進んだ。現在は遊覧船が運航し、周辺にはホテルや飲食店、土産屋などが並び、小樽の経済に大きく寄与する観光資源となっている。
雪あかりの路では、散策路と街園のキャンドルやオブジェに加え、古い漁具をイメージした約100個の「浮き球キャンドル」が水面に明かりをともす。市民によって守られた町並みが、市民の手で作り上げられるイベントによって、さらに魅力を増している。
取材・写真=克(laufen)
(バナー写真:小樽雪あかりの路の小樽運河会場で散策路を歩く人々)