知床横断道路と知床峠:北海道の世界遺産が見せる四季折々の絶景
Guideto Japan
・迫力の羅臼岳、北方領土の国後島が眺められる知床峠
・春は新緑、夏は星空、秋は紅葉の名所
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過酷な除雪作業により切り開かれる知床横断道路
ユネスコの世界自然遺産に登録されている北海道東部の知床。西側の斜里町と東側の羅臼町を結ぶ知床横断道路は、知床半島を横断することができる唯一の道路である。1963年(昭和38年)から工事が始まり、88億円の事業費と18年の歳月をかけて80年に開通した。
気候の変化が激しい地域で、雪崩や崖崩れなども発生しやすいために管理条件が厳しく、全長27.3キロのうち23.8キロの区間が11月上旬から4月下旬まで通行止めとなる。そのため、日本で一番開通期間の短い国道として知られている。
毎年春の開通に向けて除雪作業が行われるが、その期間は1カ月半にも及ぶ。作業によって道の両脇にできる雪壁の高さは3~8メートルにもなるため、開通前には「知床雪壁ウォーク」というイベントが恒例となっている。初心者向けのウトロコース6キロと上級者向けの羅臼コース10キロがあり、大迫力の雪壁に囲まれた道を歩きながら、雪化粧した羅臼岳(標高1661メートル)を眺めたり、除雪作業を見学したりできると人気だ。
開通後しばらくは夜間の通行規制があるため、24時間通行可能になるのは5月下旬あたりから。環境保護が必要な世界自然遺産登録地域のため、凍結防止剤や砂利はまかないので、雪や凍結によって夏タイヤでの走行が難しいと判断された場合も通行止めになる。訪れる場合は交通情報の確認が必要だ。
世界自然遺産区域にある絶景ドライブコース
開通期間中の知床横断道路は、絶景や見どころが満載。特に最高到達点となる知床峠(標高738メートル)からの眺めは素晴らしく、知床八景に数えられている。真夏の7月下旬でも残雪があり、展望台からは間近に羅臼岳が眺められ、天気の良い日には北方領土の国後島を望むことができる。紅葉の名所としても知られ、運が良ければ雲海と朝日を同時に楽しめる。
展望台の向かいの駐車場には、24時間使用できるトイレが設置されているのでドライブコースとしても人気が高い。羅臼側に少し下ると、標高650メートル地点で急なカーブが続く。この辺りは新緑や紅葉が美しく、車窓からは羅臼岳や羅臼市街、国後島まで眺められるため、通称「見返り峠」と呼ばれている。
北海道屈指の星空スポット
北海道の星空スポットは数多くあるが、知床峠は人工の明かりがほとんどないため、星がより一層輝くスポットとして評判だ。天の川も肉眼ではっきりと見ることができ、まるで天然のプラネタリウムのよう。
新月の時を狙って見に行くと星空はさらに美しいが、雲海が出ている場合は月明かりに照らされた方が幻想的な景色となる。
羅臼町では9月頃からイカ漁が始まり、漁船のライトで空が明るくなってしまため、星空鑑賞には6月から8月がベストだろう。知床横断道路ではキツネや鹿、ヒグマなどの野生動物が出現することもあるため、夜間の運転は慎重に。知床峠は夏でも夜は気温が低いので防寒対策をして、じっくりと星空を堪能しよう。
取材・文=laufen
写真=知床斜里観光協会、克(laufen)