北海道「知床八景」後編：「フレペの滝」「オシンコシンの滝」「カムイワッカ湯の滝」「知床峠」

Guideto Japan

2018.08.20

・気軽に世界自然遺産を散策できる「フレペの滝」
・天然温泉の滝「カムイワッカ湯の滝」、日本の滝百選に選ばれた「オシンコシンの滝」
・開通期間が日本で一番短い国道「知床峠」

【5】フレペの滝：断崖絶壁からこぼれ落ちる乙女の涙

「知床自然センター」から遊歩道を20分ほど歩くと、展望台から断崖絶壁とオホーツク海を眺めることができる「フレペの滝」。知床八景の中で、最も気軽に世界自然遺産を散策できると人気のスポットだ。

滝につながる川は無く、知床連山に降った雨や雪が地面に染み込み、100メートルの高さの断崖の割れ目から流れ落ちている。落差は約60メートル。水量が少ないため、零れ落ちる涙のように見えることから、地元では「乙女の涙」という愛称で呼ばれている。

「オシンコシンの滝」は知床半島最大の滝。斜里町中心部からウトロへ向かう国道334号沿いにある。観光拠点となるウトロ市街地の手前に位置し、駐車場も完備されているため、知床観光の最初に訪れる人が多い。

幅は約30メートル、落差は50メートルほどで、流れが2つに分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれる。階段を上ると滝の側まで近づけるため、迫力ある景色が堪能できる。冬でも凍らないので1年を通して美しい水流を眺められ、日本の滝百選にも選ばれている。

二股に分かれる滝　写真提供：知床斜里町観光協会

冬でも凍らずに流れ続ける　写真提供：知床斜里町観光協会

オシンコシンの名前は、アイヌ語で「川下にエゾマツが群生するところ」という意味の「オ・シュンク・ウシ」が由来になったという。滝からは少し離れているが、旧国道を進むとオシンコシン展望台があり、オホーツク海を一望することができる。

オシンコシン展望台周辺の草原

【DATA】

・アクセス：「ウトロ温泉バスターミナル」よりバス10分、「JR知床斜里駅」よりバス約40分

知床硫黄山から流れるカムイワッカ川にあるのが「カムイワッカ湯の滝」。涌き出た温泉が流れこんでいるため、川全体が流れる温泉のようになっている。川の中を歩いて進み、滝壺に入浴するという野生味あふれる天然温泉だ。

下流から「一の滝」から「四の滝」まであって、滝を登っていくと徐々に水温が高くなる。現在は、落石の恐れがあるために一の滝より上流への立ち入りは禁止されている。一の滝の水温は約30度で、温泉というには少しぬるい。

滝の中は滑りやすいため、濡れても大丈夫な靴などを着用して、足元に注意する必要がある。また、源泉は強い酸性なので皮膚への刺激は強めだ。

歩いて滝を登ることができる　写真提供：知床斜里町観光協会

カムイワッカ川の最下流、オホーツク海につながる場所には「カムイワッカの滝」がある。混同しやすいが、こちらには「湯」が付かない。陸路からだと行けないため、観光船に乗って海から眺める必要がある。

海上から眺める「カムイワッカの滝」　写真提供：知床斜里町観光協会

【DATA】

斜里町と羅臼町を結ぶ知床横断道路にある、標高738メートルの「知床峠」。半島を横断することができる唯一の道路で、1980（昭和55）年に開通した。7月になっても残雪をまとう羅臼岳を間近にみられるため、ドライブコースとしても人気が高い。

6月の羅臼岳。残雪が残っている

気候の変化が激しく、崖崩れや雪崩などが起こりやすいため、道路管理が厳しい11月上旬～4月下旬頃は通行止めとなる。開通期間が日本で一番短い国道としても知られ、毎年春の開通前には1カ月以上にも及ぶ除雪作業が行われている。

知床峠の除雪作業の様子　写真提供：知床斜里町観光協会

霧に包まれることも多いが、天気の良い日には羅臼岳やハイマツの樹海、北方領土の国後島を望むことができる。朝日や雲海も見られ、秋は紅葉が美しい。近年は北海道屈指の星空スポットとしても徐々に知名度を上げている。無数の星が空一面に広がる様子はまるで天然のプラネタリムのようだ。

国後島から登る朝日　　写真提供：知床斜里町観光協会

秋は紅葉が美しい　写真提供：知床斜里町観光協会

【DATA】

文＝laufen
写真＝知床斜里町観光協会、克（laufen）
（バナー写真＝エゾシカがよく出没する「フレペの滝」）