大阪新世界:にぎやかな看板が並ぶB級グルメの宝庫
Guideto Japan
・新世界のシンボル・通天閣からは大阪の街が一望できる
・ビリケンさんを探すのも楽しみの一つ
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名物は串カツやどて焼き、人気店には長蛇の列
江戸時代には物流・商業の中心地で、「天下の台所」と呼ばれた大阪。食へのこだわりの高さは、「京の着倒れ、大阪の食い倒れ」という言葉でよく知られている。そんな大阪の中で、安くておいしいB級グルメがそろっているのが、通天閣をシンボルとする大阪市南部の下町「新世界」だ。
「新世界」といえば、まず「串カツ」の本場として有名である。串カツは肉や魚介、野菜などを串に刺し、衣を付けてから揚げた料理。特に大阪ではポピュラーで、ファーストフード感覚で食べられる立ち食い店も多い。
大小さまざまな串焼き店が並ぶ新世界で、ひときわ長い行列を作っているのが「八重勝」だ。串焼き店は客の回転が早く、30分以内で入店できることが多いので、行列でも諦めずに並ぶのがおすすめ。八重勝のカウンターには新鮮な食材が並び、注文すると目の前で揚げてくれるのが楽しい。
この店に限らず、串カツ店の絶対的なルールとして「ソースの2度づけ禁止」というものがある。提供された串カツは、カウンターや各席に置かれたソースにつけて食べるのだが、このソースは皆が共有して使うもの。衛生面を考え、一度口をつけた串カツを再度ソースにつけるのは禁止となっている。最初にたっぷりとソースにつけておくのがコツだが、もし途中で物足りないと感じたら、無料で置かれているキャベツでソースをすくって串カツにかけると良い。
揚げたての串カツは、衣の表面がサクッと軽い食感で、内側はモッチリとした柔らかさが残っていておいしい。包まれた食材は、それぞれの素材に合わせた揚げ時間によって、最高の仕上がりで提供される。
串焼きと並ぶ新世界の名物「どてやき」は、牛すじ串をみりんや味噌で煮込んだ関西発祥とされる料理。少し甘みのあるまろやかな味付けで、牛すじのプルプルとした食感にとてもよく合っている。こちらも、並ぶ価値が十分にある本場のうまさだ。
【DATA】
- 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東3-4-13
- 営業時間: 午前10時30分~午後9時30分
- TEL:06-6643-6332
- 定休日:木曜日、第3水曜日
多言語のメニューを用意した1日中飲める店
通天閣が間近に見える場所にある居酒屋「名代 鶴亀家」。入り口上部にある約2メートルの鶴と亀のオブジェが目印となる、昭和の味を今に伝える人気店だ。
英語と中国語、韓国語のメニューを用意しているので、訪日観光客も安心して注文することができる。新世界名物の串カツとどて焼きを始め、鍋や鉄板料理、サラダまでメニューは多彩。新世界らしく朝10時から朝方まで営業していて、金・土曜と祝日の前日は24時間営業。お座敷も広く、新世界グルメをゆったりと楽しみたい人におすすめの店だ。
【DATA】
- 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東2-5-2
- 営業時間:日〜木/午前10時~午前5時、金・土・祝前日/24時間営業
- TEL:06-6630-1515
- 定休日:なし
- 多言語対応:メニュー…英語/韓国語/中国語
ミックスジュース発祥の店「千成屋珈琲」
1948(昭和23)年の創業で、初代店主の恒川一郎氏が発案した「ミックスジュース」が世代を超えて愛されている「千成屋珈琲」。シャリッとした氷の食感とバナナのまったりした味わい、さまざまなフルーツの酸味が一体となったジュースはとても美味。
もちろん本格的な珈琲を楽しむこともできる。大阪で「冷コー」と呼ばれて親しまれるアイスコーヒーは水で抽出する「ダッチ・コーヒー」、ホットコーヒーは「サイフォン」と「ドリップ」で一杯ずつ丁寧に提供される。2016年夏に一度閉店したが、再開を望む声が上がり、2017年にファンの一人が受け継ぐという形で復活した。新世界観光に疲れた時は、地元の人々に愛される喫茶店で休憩してみては。
【DATA】
- 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東3-4-15
- 営業時間:日〜木・祝日/午前9時~午後9時、土・祝前日/午前9時~午後11時(ラストオーダー閉店1時間前、ドリンク閉店30分前まで)
- TEL:06-6645-1303
- 定休日:なし
大阪B級グルメの代表「たこ焼き」の名店も
大阪名物「たこ焼き」も、新世界でぜひ食べておきたい一品。赤提灯が印象的な「かんかん」は行列ができる人気店で、外はカリカリで中はフワっとやわらかいたこ焼きが好評を博している。
1皿8個入りで350円とリーズナブルで、おやつや小腹がすいた時などに、その場で熱々を頬張る人が多い。
【DATA】
- 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東3-5-16
- 営業時間:午前10時~午後7時30分
- TEL:06-6636-2915
- 定休日:月・火曜日
■周辺情報
新世界のシンボル通天閣とビリケンさん
新世界の中心にそびえる通天閣。高さ87.5メートルにある5F展望台「黄金のビリケン神殿」は、大阪の街が一望できるので「大都会の空中オアシス」という愛称がある。黄金のビリケン像は撮影スポットとして人気で、スタッフが記念写真を撮ってくれる。
通天閣のてっぺんにある円柱型のネオンは、実は翌日の天気を表している。白が晴れ、オレンジが曇り、青が雨という予報だ。上下二段に分かれており、上が白で下がオレンジの時は、「晴れ後曇り」ということになる。覚えておくと便利な豆知識である。
新天地のアイドル・ビリケンさんは、愛嬌(あいきょう)のある顔と足を投げ出したふてぶてしい座り姿で皆に愛される神様。その発祥には諸説あるが、1908年に米国の女性芸術家フローレンス・プリッツが「夢の中で見た神様」をモデルとして制作したとされる。新世界では「ビリケン神社」を始め、飲食店の店頭など至る場所で見つけることができる。ビリケンさんの足の裏を撫でるとご利益があると言われているので、ぜひたくさんの足の裏を撫でてみよう。
【DATA】
通天閣
- 住所:大阪府大阪市浪速区恵美須東1-18-6
- アクセス:地下鉄「動物園前」駅(1番出口)より徒歩7分、地下鉄「恵美須町」駅(3番出口)より徒歩5分、JR「新今宮」駅(東口)より徒歩9分
- 営業時間:午前9時~午後9時(入場は午後8時30分まで)
- 料金:大人(高校生以上)700円、中学生・小学生・幼児(5歳以上) 400円 ※団体割引有り
- TEL:06-6641-9555
- 定休日:なし
- 多言語対応:パンフレット…英語/韓国語/中国語/台湾語/タイ語
取材・文=藤井 和幸(96BOX)
写真=黒岩 正和(96BOX)