鹿児島「西郷どん」ゆかりの地を訪ねる
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薩摩の偉人たちが生まれ育った加治屋町
1828(文政11)年、鹿児島市加治屋町で下級武士の長男として誕生した西郷隆盛。彼が生まれ育った「西郷隆盛誕生地」は、公園として整備され、石碑が立っている。この辺りは下級藩士が暮らした加治屋町で、西郷をはじめ、大久保利通や大山巌、東郷平八郎、山本権兵衛(ごんのひょうえ)ら幕末維新に活躍した偉人を数多く輩出している。
- 住所:鹿児島県鹿児島市加治屋町5
- アクセス:JR「鹿児島中央駅」から徒歩約10分、カゴシマシティビュー「維新ふるさと館前」から徒歩約1分
西郷隆盛誕生地から徒歩1分の甲突川沿いにある「鹿児島市維新ふるさと館」は、明治維新をテーマにした歴史ミュージアム。幕末維新期の薩摩の姿や明治維新で活躍した偉人について、ジオラマや映像など、ハイテク技術を駆使した展示や演出で分かりやすく紹介している。
館内は2018年1月にリニューアルオープン。薩摩独自の青少年教育システム「郷中(ごじゅう)教育」を紹介するゾーンが、体験型展示に生まれ変わるなど魅力が増した。川遊びや押し相撲、武者カルタ、薩摩藩に伝わる古代剣術・示現(じげん)流など、幼少期から青年期にかけて西郷たちが体験した遊びや教えをゲーム感覚で学ぶことができる。
維新ふるさと館の目玉が、リアルなロボットと映像を駆使した「維新体感ホール」。幕末から明治にかけての歴史を解説する「維新への道」と、薩摩藩が英国へ留学生を派遣した様子を再現した「薩摩スチューデント、西へ」の2本のドラマが交互に上映されている。その臨場感あふれる舞台は必見だ。
「維新ふるさと館」
- 住所:鹿児島県鹿児島市加治屋町23番1号
- アクセス:JR「鹿児島中央駅」から徒歩約8分、カゴシマシティビュー「維新ふるさと館前」下車
- TEL:099-239-7700
- 営業時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) ※時期により時間延長有り
- 休館日:年中無休
- 料金:高校生以上300円、小・中学生150円 団体割引有り
西郷隆盛が最期を遂げた城山へ
標高107メートルの「城山」は、鹿児島市の中心部にある緑豊かな小高い丘。1877(明治10)年に勃発した西南戦争では薩軍の本陣が置かれ、最後の激戦地となった。現在、一帯は公園として整備され、憩いの場として鹿児島市民に親しまれている。
城山の中腹にひっそりたたずむのが「西郷隆盛洞窟」。西南戦争の際、官軍の総攻撃を受けて追い詰められた西郷が、桐野利秋や村田新八、別府晋介ら薩軍幹部とともに最期の5日間を過ごしたといわれる洞窟だ。この洞窟を出た後、西郷は銃弾を受けて負傷し、自刃したと伝わる。
西南戦争の舞台となった城山の麓には、台座を含む高さ約7mの「西郷隆盛銅像」が立つ。西郷の没後50年を記念し、渋谷の「忠犬ハチ公」を手がけた鹿児島出身の彫刻家・安藤照氏によって8年の歳月をかけて制作された。陸軍大将の軍服を着たその像は、鹿児島の町を今も見守り続けているようだ。
「城山」
- 住所:鹿児島県鹿児島市城山町
- アクセス:JR「鹿児島中央駅」から自動車で約15分、カゴシマシティビュー・まち巡りバス「城山」下車
西郷ら薩摩志士が眠る「南洲墓地」
城山から車で約10分。西郷の没後100年を記念し、昭和53年に建設された「鹿児島市立西郷南洲顕彰館」へ。「南洲」とは西郷の号。ジオラマや映像を交え、西郷の生涯や思想、功績を分かりやすく伝える展示がそろう。
館内には西郷直筆の書や手紙、衣服、西南戦争に関する資料などが展示されている。中でも注目したいのが、鹿児島県指定文化財である西郷自筆の書「敬天愛人」。西郷の座右の銘で、好んで揮毫(きごう)したということはよく知られている。「敬天愛人(天を敬い、人を愛する)」とは、どんな人にも誠意を持って分け隔てなく接し、人々のために尽くすということ。情を重んじ、仲間を大切にした西郷の生きざまがよく表れている。
西郷南洲顕彰館と同じ敷地に、西郷をはじめ西南戦争で亡くなった薩軍志士2023名が埋葬されている「南洲墓地」がある。西郷の墓を取り囲むように、篠原国幹や桐野利秋、村田新八、別府晋介ら薩軍幹部の墓が並ぶ。今も多くの人が墓前に手をあわせる姿が見られ、西郷の人気の高さをうかがわせる。
「西郷南洲顕彰館」
- 住所:鹿児島県鹿児島市上竜尾町2-1
- アクセス:JR「鹿児島中央駅」から自動車で約17分、カゴシマシティビュー「西郷南洲顕彰館(南洲公園)前」から徒歩約1分、まち巡りバス「南洲公園入口」から徒歩約6分
- TEL:099-247-1100
- 開館時間:午前9時 ~ 午後5時
- 休館日:月曜日、12月29日~1月1日 ※平成30年2月 ~ 平成31年3月は年中無休
- 入館料:高校生以上200円、小中学生100円 ※団体割引有り
取材・文=佐藤 史(ポルト)
写真=草野 清一郎