長崎・五島列島観光ガイド:快適な船旅のすすめ

教会群などの歴史・文化遺産に加え、雄大な自然や美しい海、郷土色豊かな料理や祭りなど魅力あふれる長崎県五島列島。おすすめの船旅ルートや豆知識、港近くで食べたいご当地グルメを紹介する。

船旅の準備と注意点

船は、強風などで欠航になることも珍しくない。天気予報や船会社の運航状況を小まめにチェックして、旅程もプラス1日くらいの余裕を持って組んでおきたい。高速船は移動時間が短いのだが、フェリーよりも高波や強風などで欠航しやすいことも考慮しておく必要がある。

島から島への移動は、船の便数が少なく、1日に12便しかないような港もある。どの船を利用するか、海上タクシーを使うかなど、しっかり計画を立てておく必要がある。出航時刻は、船が港を出発する時間なので、ギリギリに港に着いても船に乗るのは難しい。乗船券の購入や乗り込みなどの時間を考えて、30分前には到着しておくことをおすすめする。

船酔いが心配な人は、船体の後方に乗ると良い。前方に比べて安定しており、揺れが小さくなるので船酔いは軽減する。甲板に出ることができる大きめな船では、ぜひ一度は外へ出てほしい。多島美景観が魅力の五島列島は、潮風を受けながら海上から眺めるのが醍醐味(だいごみ)の一つである。

なるしおの甲板で、心地よい風を感じながら島々を望む

郷土色豊かなご当地グルメや祭りを楽しむ

旅の楽しみといえば、なんといってもご当地グルメ。五島の料理で特に有名なのが、日本三大うどんに数えられる「五島うどん」。五島産のつばき油を練り込んだ麺はコシが強く、焼いたトビウオ(アゴ)からとったダシを使うなど、その味は折り紙付き。福江港のターミナル近くから、五島列島の至る所で食べることができる。

つばき油を使用した五島うどんは、コシが強いのが特徴

当然、魚介類は豊富で、サバずしなどが名物となっている。観光客に評判なのが、見た目のインパクトが大きい「かっとっぽ」。ハコフグをそのまま器として使用し、取り出した身をみそや酒、きざみねぎなどと混ぜてから、おなかに戻して焼いたもの。ご飯のお供としても、地酒の焼酎のつまみとしても最高に合う。

かっとっぽはハコフグを丸々1匹使用するぜいたくな料理

そして、風変わりな祭りの時期に訪ねるのも、五島列島の通な楽しみ方だ。福江島で1月の第3日曜日に行われる「ヘトマト」は、奇祭中の奇祭といわれている。大草履に女性を乗せて、ふんどし姿の男たちが担ぎ上げ、参加者も見物客も顔中にすすを塗られる。

お盆時期の念仏踊りは、地域ごとに衣装や音楽、踊りが受け継がれている。「チャンココ(福江島)」「オーモンデー(嵯峨島)」「オネオンデ(富江町)」など、それぞれ魅力が異なるので、いくつか見て回るのも面白い。

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福江島の下崎山地区で行われる起源不明の奇祭ヘトマト

大きな島にはバスが走っているが、本数は少なく、思い通りにルートを回るのは難しい。島内の移動は、レンタカーやタクシーを利用する方が良いだろう。自然、文化、歴史、グルメと魅力の詰まった五島列島だけに、少しでも多くの場所を巡ってみてほしい。

中通島の赤ダキ岸壁は、赤と青とのコントラストが美しい

写真=黒岩 正和
取材・文=藤井 和幸

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