写真で楽しむ東北の国立公園:神宿る山々と清らかな水、深い雪が生み出す雄大な風景
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十和田八幡平国立公園(青森県、秋田県、岩手県)
十和田八幡平国立公園は、大部分が青森に属する十和田・八甲田地域と、岩手と秋田の県境に広がる八幡平地域で構成され、緑豊かな山々と清らかな水をたたえる湖沼や渓流が美しい風景を生み、冬には雪と樹氷がアクセントを加える。
八甲田山は火山群で、大岳(標高1585m)を主峰とする北八甲田連峰と、櫛ヶ峰(標高1517m)などの南八甲田連峰に分かれる。北八甲田は登山道が整備され、田茂萢岳(たもやちだけ、標高1324m)には八甲田ロープウェーもあるので、気軽にハイキングやスキーが楽しめる。手付かずの場所も多い南八甲田は、経験豊富な登山者向きだ。
青森県と秋田県にまたがる十和田湖は、標高400メートル地点にある周囲46キロのカルデラ湖。透明度が高く、最深部は327メートルもあるため、神秘的な藍色をたたえる。そこから流れ出す長さ約14キロの奥入瀬渓流と共に、国の「特別名勝および天然記念物」に指定される日本有数の景勝地だ。
最大標高1614メートルの高原台地・八幡平には、八幡沼をはじめ湖沼や湿原が点在し、多様な生態系が見られるトレッキングスポット。冬は雪深く、早春に開通する観光道路・八幡平アスピーテラインなどの「雪の回廊」は名高い。八幡平地域の最南部は高原植物の宝庫として知られる秋田駒ケ岳で、東は岩手県最高峰の岩手山(標高2038m)まで含まれる。
八甲田・大岳西麓にある混浴大浴場「ヒバ千人風呂」の酸ヶ湯(すかゆ)温泉、渓流沿いに一軒宿が点在する秋田県仙北市の乳頭温泉郷など両地域ともに温泉に恵まれ、観光客は登山やハイキングと一緒に湯巡りも楽しんでいる。
(指定:1936年2月1日、面積:8万5534 ha)
三陸復興国立公園(青森県、岩手県、宮城県)
1955(昭和30)年に指定された陸中海岸国立公園に、東日本大震災からの復興の一助とするために、2013(平成25)年に青森の種差海岸階上岳県立自然公園、2015(平成27)年に宮城の南三陸金華山国定公園を編入。太平洋沿岸の約250キロにわたる三陸復興国立公園が誕生した。
ウミネコの繁殖地で国の天然記念物に指定される蕪島(かぶしま、青森県八戸市)が最北部で、その南には海食崖や奇岩など変化に富んだ地形の種差海岸、太平洋が一望できる階上岳(標高740m)がある。
北限の海女として有名な岩手の久慈から、魚介の宝庫・宮古湾までの旧陸中海岸国立公園の北部エリアには、50~200メートルの断崖が連なり、「海のアルプス」とも称される。宮古の南には入り組んだリアス式海岸が続き、変化に富んだ景色を生み出すと同時に、内湾部には釜石や大船渡、気仙沼など日本有数の水揚げを誇る漁港を擁する。
最南部の牡鹿半島からは女川湾を一望でき、その南東に浮かぶ島・金華山は恐山、出羽三山と並ぶ奥州三霊場で手付かずの自然が残る。気仙沼や陸前高田など、各地には津波の脅威を物語る震災遺構があり、祈念公園や震災伝承館も造られている。雄大な景色を眺め、海の恵みを味わいつつ、震災からの復興の歩みや防災意識の大切さも実感できる貴重な国立公園だ。
(指定:1955年5月2日、※2013年5月24日の区域拡張に伴い、現名称に変更 面積:2万8539 ha)
磐梯朝日国立公園(山形県、福島県、新潟県)
磐梯朝日国立公園は、山岳信仰の地・出羽三山から南へ、多様な動植物が魅力の朝日連峰や飯豊(いいで)連峰、レジャー客に人気の吾妻連峰や磐梯山(標高1816m)、猪苗代湖までおよぶ広大な国立公園。
出羽三山は、月山(がっさん、標高1984m)頂上にある月山神社、羽黒山(標高414m)頂上の出羽(いでは)神社、湯殿山(ゆどのさん)中腹の湯殿山神社の総称で、修験道の聖地として名高い。参拝や史跡巡りに加え、月山北面の溶岩台地・弥陀ヶ原など見どころが多い。
朝日・飯豊連峰は、ブナ原生林など原始的な景観が残り、高地の湿原や草原には厳しい環境を生き抜く希少な植物や昆虫が生息する。
福島県のシンボル・磐梯山と猪苗代湖、火口壁を周遊できる吾妻小富士(標高1707m)や最高峰・西吾妻山(標高2035m)が連なる吾妻連峰は、首都圏からのアクセスが良く、観光客でにぎわう。周辺には裏磐梯の五色沼や安達太良山、土湯・高湯温泉郷などの人気スポットも点在している。
(指定:1950年9月5日、面積:18万6389 ha)
バナー写真:五色沼湖沼群・るり沼から磐梯山を望む 写真:PIXTA