写真で楽しむ九州の国立公園(北部編):活火山と青い海、島々が織りなす絶景
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雲仙天草国立公園(長崎県、熊本県、鹿児島県)
1934(昭和9)年に日本初の国立公園の一つに指定された「雲仙国立公園」は、56年に熊本・天草地域が加わって「雲仙天草国立公園」となった。長崎・島原半島にそびえる雲仙岳の豊かな自然と温泉の湯けむり、熊本・天草から鹿児島にまたがる八代海の島々が美しい情景を生み出す。
20峰以上が連なる雲仙岳は活火山として知られ、90年代前半の普賢岳平成噴火では大火砕流が発生。その際に、現在の最高峰・平成新山(標高1483メートル)が誕生した。島原半島は三方を海に囲まれているため、荒々しい山容と青い海が織りなす絶景が随所で見られる。噴気孔から白い蒸気が立ち上る雲仙温泉の地獄地帯も人気の散策スポットだ。
天草地域は、北端の大矢野島と上島の間にある「天草松島」を代表に、多島海の景観が魅力。海食が生み出した複雑な海岸線は変化に富み、水中のサンゴも美しい。下島と島原半島の間の海域にはミナミハンドウイルカが生息し、船上からドルフィンウォッチングが楽しめる。
両地域は、国立公園区域を中心に「島原半島ジオパーク」「天草ジオパーク」の認定も受けている。江戸時代初期の「島原・天草一揆」で知られるように、ユネスコの世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産も点在するので、歴史散策も楽しめる。
(指定:1934年3月16日、面積:2万8279 ヘクタール)
阿蘇くじゅう国立公園(熊本県、大分県)
大カルデラにそびえ立つ熊本・阿蘇山と、その北東に並ぶ大分のくじゅう連山や由布岳、鶴見岳の火山群、周囲に広がる緑豊かな高原地帯で構成される「阿蘇くじゅう国立公園」。阿蘇からくじゅう連山を抜けて別府市まで至る「やまなみハイウェイ」は人気のドライブコース。高原や湿原でハイキングを楽しんだ後は、火山の恵み・温泉で疲れを癒やすこともできる。
阿蘇山は、高岳、中岳、根子岳、杵島岳、烏帽子岳の五岳の総称で、南北25キロ、東西18キロにおよぶカルデラを有する。噴煙を上げる中岳は、観光客が火口をのぞき込める世界的にも珍しい場所。近くには、のどかな風景が広がる草千里ヶ浜、美しい円すい形をした米塚などの火口跡があり、カルデラを縁取る外輪山も自然豊かで素晴らしい眺望を持つ。
くじゅう連山では火山特有の変化に富んだ風景を、ミヤマキリシマなど高原植物が彩る。久住高原や飯田高原では草原が広がり、ラムサール条約に登録される「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」などもあり、見どころが豊富な地域だ。
公園の最北部には、湯布院温泉や別府温泉の源となる由布岳と鶴見岳がある。起伏に富んだ山容は美しく、峰に登れば由布院盆地や別府湾、くじゅう連山までを一望できる。
(指定:1934年12月4日、面積:7万2678 ha)
西海国立公園(長崎県)
長崎県西北部に位置する「西海(さいかい)国立公園」。佐世保湾の俵ケ浦半島北側から平戸市にかけての九十九島(くじゅうくしま)と平戸島の「西海エリア」、五島列島の「五島エリア」に分けられ、リアス式海岸と大小400 もの島々の風景が特徴だ。
208もの島が点在する九十九島は、日本一の島密度を誇る。南九十九島はリゾート地として人気で、北九十九島を一望できる長串山公園はつつじの名所として知られる。平戸島には、さまざまな火山岩類が分布し、佐志岳、志々伎山では浸食火山地形、川内峠や安満岳の溶岩台地など独特の景観に出会える。
東シナ海に浮かぶ長さ約80キロの五島列島は、主要な7つの島の周囲に140を超える小島が浮かぶ。海岸線は海食によって複雑な形状を描くが、内陸部は緑豊かで穏やかな風景だ。ユネスコの世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録される歴史ある教会が点在し、美しいビーチも多いことから、近年は人気の観光地となっている。
(指定:1955年3月16日、面積:2万4646 ha)
瀬戸内海国立公園(大分県、福岡県)
日本の国立公園で最も広い「瀬戸内海国立公園」は、東は大阪や和歌山から、西は九州の大分、福岡までの1府10県にまたがり、海域を含めると広さ90万ヘクタールを超える。
大分県では国東半島の両子山(ふたごさん)の山頂付近と、その北側の海に浮かぶ姫島など、福岡県は関門海峡の九州側・和布刈公園(めかりこうえん、北九州市門司)付近だけが指定区域となる。
(指定:1934年3月16日、面積:6万6934 ha)
バナー写真:俵ケ浦半島の展海峰から撮影した西海国立公園・九十九島の夕景 写真:PIXTA