鹿児島・奄美大島の観光スポット:多様性と希少性を併せ持つ動植物編[フォトギャラリー]

・手つかずの自然が織りなす絶景の宝庫
・マングローブやシダ類が生い茂る原生林が広がる
・希少性の高い動物や昆虫にも出会える

鹿児島県の奄美大島には海以外にもたくさんの絶景がある。特に、島の大部分を占める森が育んだ、手つかずの自然の美しさには圧倒される。

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マングローブ原生林

住用川と役勝川が合流する河口域に広がる

住用町にあるマングローブ原生林は、広さ71ヘクタールと沖縄県西表島に次ぐ日本で2番目の規模を誇る。隣接する「黒潮の森マングローブパーク」には展示施設のマングローブ館や展望台などがあり、カヌーもレンタルしているので水上からマングローブを間近に眺めることも可能だ。

上空から見たマングローブ原生林

マテリヤの滝

太陽の光が差し込み輝くマテリヤの滝

大和村の奄美フォレストポリス内にあるマテリヤの滝。湯湾岳麓のうっそうとした森の中、この滝つぼには太陽の光が差し込むため、古くから憩いの場として親しまれてきた。マテリヤの滝という名前は、「本当に美しい太陽の滝つぼ」という称賛の言葉がなまったものだという。

ソテツ・バショウ群生地

ソテツがここまで群生しているのは珍しい。戦時中には食料にもなった

龍郷町の安木屋場では、ソテツとバショウが山一面に広がる圧巻の光景が見られる。ソテツの葉は大島紬を染める泥田の鉄分補給用にし、バショウの繊維は芭蕉衣(バシャギン)と呼ばれる着物に使用するなど、どちらも奄美の文化と深く関わりがある植物だ。

安木屋場のバショウはイトバショウという品種

金作原原生林

真下からヒカゲヘゴの葉を見上げる

奄美大島の山々の中でも、天然の亜熱帯広葉樹が多数残るのが名瀬の金作原(きんさくばる)原生林。森の中から空を見上げれば、巨大なヒカゲヘゴの葉が光をはらんだ傘のよう輝く。奄美固有、国指定天然記念物の動植物も生息している。

雄大な金作原原生林を空撮

ルリカケス

国指定天然記念物のルリカケス
奄美大島の豊かな自然の中では、特別天然記念物のアマミノクロウサギを代表格に、オットンガエルやルリカケスなど稀少な生物に出会えることもある。実際、私もルリカケスを撮影することができた。頭部から頸部にかけて瑠璃色(紫がかった濃い青)をした華麗な鳥で、奄美群島にのみ生息している。

リュウキュウハグロトンボ

水辺でよく見かけるリュウキュウハグロトンボ本土で見られないリュウキュウハグロトンボは、奄美群島から沖縄にかけて生息する。緑色で光沢のある細長い体に黒い羽のコントラストが美しい。奄美大島のリュウキュウハグロトンボは、沖縄本島に比べて羽の青く輝く部分が狭いのが特徴。

ハブ

ハブは夜行性なので、暗い時間帯の散歩などは注意が必要

珍しい生物が多い奄美大島だが、アカマタやハブといった九州以北にはいない蛇も繁殖している。特にハブは強い毒を持っているので、見つけた際は近づかないように注意したい。

湯湾岳

湯湾岳公園の展望台から、太陽が沈む焼内湾側を望む

宇検村と大和村の間にある湯湾岳は、山の多い奄美大島でも最高峰の標高694メートル。原生林が育まれ、アマミノクロウサギ、オーストンオオアカゲラ、オットンガエルなど貴重な固有種が生息している。ここから眺める夕景は奄美十景に数えられ、連なる山影のグラデーションと黄金に染まる空の共演がとても美しい。

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取材・文・写真=黒岩 正和(96BOX)

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