【八乙女の舞】 ライカ北紀行 —函館— 第48回

西野 鷹志 【Profile】

江戸初期、砂金掘りにまぎれこんだ隠れキリシタンの殉教の地、大千軒岳(標高1072メートル)のふもと。福島町千軒。

白い花が一面に広がるそば畑の真ん中で、太鼓と笛と笙の音がひびきわたり、若々しい巫女ふたりが扇子を手に舞いに舞う。なんとも幻想的な光景だ。豊作をねがう松前神楽『八乙女の舞』。女子中学生の舞に、ようそろ! “良き候”と声が掛かった。

松前神楽 『八乙女の舞』(2016) 300年あまりの歴史がある国の重要無形民俗文化財
松前神楽 『八乙女の舞』(2016) 300年あまりの歴史がある国の重要無形民俗文化財

松前神楽『十二の手獅子舞・五方』
松前神楽『十二の手獅子舞・五方』

そばの花が咲き乱れる畑の傍らにある「千軒そばの店」。農家のかみさんたちが切り盛りする。そこで、もりそば一枚。つなぎ無しの十割だが、風味がありツルツルと喉ごしもいい。もう一枚。

大もりそば、底あげなし。2人でやっと(2020)
大もりそば、底あげなし(2020)

●道案内
福島町千軒
 函館から松前国道を車で約1時間半(地図へ

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    北海道 函館市 伝統芸能 そば ライカ北紀行 写真 函館

    西野 鷹志NISHINO Takashi経歴・執筆一覧を見る

    1941年東京生まれ。エッセイスト・写真家。函館中部高校を経て慶応義塾大学経済学部卒。30代半ばで郷里に戻り、函館山ロープウェイを経営する傍ら、日本初のコミュニティFM放送「FMいるか」を創設。北海道教育委員や女子高の理事長、函館のタウン誌「街」の発行人もつとめるなどその活躍は多彩。愛用のカメラ、ライカを肩に北の港街をモノクロで撮り続けて30年。『ウイスキー・ボンボン』『風のcafé 函館の時間』など多くの著書がある。

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